『トルコEUドイツと制限時間内交渉』

2017年5月29日

 

 エルドアン大統領の短気からなのか、あるいはEUやドイツのトルコに対する、嫌気からのなのであろうか。EUとドイツは時間に制限を設けて、トルコとの問題を交渉することを、明らかにした。

 EUについては、トルコをEUの加盟国として、認めるか否かをめぐる問題が、今後1年以内で最終決定が、下されることになった。トルコがこの交渉で、EUのメンバー国になる可能性は、低いものと思われる。

それは、エルドアン大統領が言い出した、死刑の復活問題が、ネックになっているし、エルドアン大統領の独裁的手法も、EUにとっては不愉快な問題であろう。エルドアン大統領は一方では、EU加盟を強く求めながら、他方ではEUが飲めないようなことを、言い出しているのだから、大矛盾という事であろう。

トルコ人に対するビザ・フリー問題も、EU諸国は許可したくないだろう。ドイツが失敗の好例で、数百万人のトルコ人が、今ではドイツ国民として、生活しているからだ。彼らの人口増加率は、ドイツ人に比べて高いこともあり、やがてはドイツ人口に占める、トルコ人の割合は相当のレベルに、達することになろう。

トルコ人はドイツ国籍を得てもなお、イスラム教徒であり、トルコ民族意識が強いし、トルコの風俗習慣を守っているため、ドイツ社会に違和感が生じているのだ。それは、トルコをEUに加盟させることになれば、EU加盟諸国全域にドイツの失敗が、広がるということだ。

加えて、トルコが政策として進めている、シリア難民などの大量の、EUへの押し出しも、大きな問題であろう。EU各国政府は難民が入ってくれば、生活支援をしなければならず、相当の経済的負担になるし、民族間の対立が激化し、社会が不安定化するのだ。

ドイツとトルコとの間では、インジルリク空軍基地の今後に関する、議論が続けられ、2週間以内にドイツは結論を出す、と言っている。つまり、ドイツはインジルリク空軍基地に留まるのか、撤収するかを決めることになっている。

ドイツの議員らのインジルリク空軍基地にいる、ドイツ兵を訪問したいという要請を、トルコ政府が拒否したことに、大きな問題がある。もちろん、それに加えトルコ政府が企画した、新憲法賛同大集会を、ドイツが禁止したことも、問題になっている。

現在、トルコとドイツの間に横たわる問題で、エルドアン大統領が妥協することはないだろう、と専門家たちは見ているが、そうであるとすれば、ドイツはインジルリク空軍基地から出ていくことになろう。

エルドアン大統領はドイツ軍が、インジルリク空軍基地から撤収することについて、全く意に介していない。『出て行きたければ出ていけ。』という姿勢を変えていないのだ。しかし、インジルリク空軍基地については、アメリカもドイツと同じ立場であることを考慮すると、トルコにとってはそう簡単な、問題ではあるまい。