『暴露され始めたクーデターの真相』

2017年5月27日

 

 トルコでは昨年715日に起こった、クーデター未遂事件をめぐり、次第にその真相らしいものが、明らかになりつつある。トルコ政府はギュレン・グループが背後で、このクーデターを図っていた、と説明しているが、欧米にはそう受け止めている政府は、無いようだ。

 クーデター未遂事件の跡、多数の官僚、国家公務員、教員、ジャーナリスト、軍人、裁判官、検察官などが逮捕されたが、やっと軍人に対する裁判が始まったようだ。今回裁判にかけられるのは221人、なかには何十人もの将校、将軍クラスも含まれている。

 軍の幹部はクーデター事件の首謀者、ということになるのだが、実は彼らは断片的であれ、クーデターに関わる情報を、握っているのだ。それが裁判の段階で、少しずつもれ始めてきているのだ。

 ここでフィラット大佐、という人物が登場する。彼はゼカイ・アクサケリ将軍から、テロ対策を命じられて行動を起こした、と語っている。フィラット大佐とアクサケリ将軍との間には、ウミット・バクという名の大佐が関与していた、ということだ。

 アクサカリ将軍はクーデターの夜に、オメル・ハリスデミル将校に対し、セミフ・テルズ将軍を暗殺するよう、指示を出していた。

 逮捕されているエルハン・ジャハ将軍は、『大衆の名で軍が起こした、クーデターだと思っていた。』と当時のことを振り返って語っている。このクーデター計画はアカル参謀長が計画を建て、始めから知っていた。またフェダン・ハカン情報長官(MIT長官)も、事実を把握していたようだ、と語っている。

 後に逮捕された、アリ・ヤズジ大統領軍事顧問は、クーデター前にクーデターが起こるだろう、と冗談めかして語っていた人物だ。

 レヴェント・トルカン大佐は、ギュレン関連で逮捕され、各種の証言をしたと言われているが、彼はそれを全面的に否定している。しかし、彼はギュレン氏裏切ったのではないか、と見られている。

 OK将軍はクーデターが起こる7時間前に、その事を情報部(MIT)に報告している。しかし、クーデター計画が実行に移されるということを、フェダン・ハカン情報長官はエルドアン大統領に、伝えていなかった、といわれている。

 不思議なことに、フェダン・ハカン情報長官とアカル参謀長は、6時間もの長きに渡って、二人だけで会談しているのだ。

 エルドアン大統領はクーデターが起こる段階で、マルマリのリゾート・ホテルにいたが、そこを攻撃する予定だったのは、ギョクハン・シナン蒋軍だった。これはセミフ・テルズ将軍が、最終命令を出すことになっていたのだが、ホテルへの突撃命令は、4時間が経過しても出されなかった。結果として、エルドアン大統領は逮捕されることが、無かったのだ。

 簡単に言ってしまえば、トルコで起こったクーデターは、フェダン・ハカン情報長官とアカル参謀長が、エルドアン大統領の指示で計画し、失敗に終わらせた、偽クーデターだった、ということではないのか。

 これから軍人や検察官に対する、裁判が進むにつれて、多くの秘密が暴露されることになろう。裁判法廷の証言は、結局外部に漏れ出すからだ。それは口伝えか、マスコミを通じてか、ツイッターを通じてか、社会に広がり、外国の報道機関も喜んで、その情報を流すことになろう。それだけエルドアン大統領は欧米からも、毛嫌いされているということなのだ。