『トルコ・クーデター軍人裁判開始は危険信号』

2017年5月23日

 

 トルコで起こった昨年715日の、クーデター事件をめぐり、622日から軍人に対する、裁判が開始された。この軍人たちの数は221人、その中には20数名の、将軍たちも含まれている。

これらの裁判を受ける軍人のなかには、アクン・オズトルク退役将軍も含まれているが、彼は元軍最高会議の、メンバーだった人物だ。つまり、軍人としては最高位にいた軍人だ、ということだ。加えて、メフメト・パルチョウク将軍、メフメト・デルチョウク将軍なども含まれている。

第一審問で住所を問われたアクン・オズトルク将軍は『私の住所は知らない刑務所のなかだ。』と答えた。これに対して原告側の証人は、クーデターで死亡した息子の母親で、彼女は『殺人者たちを殺せ、私の息子を返せ。』と叫んでいる。ちなみに、クーデターでは240人の市民が犠牲になり、数千人が負傷している。

法務大臣の発表によれば、現在149833人が逮捕され、4863人が投獄されているということだ。彼らは現在、203000人収容可能な刑務所のなかで、221607人が投獄されている中に、含まれている。そのため、囚人は交代で眠らなければならない状況に、あるということのようだ。

政府はクーデターが起こると即座に、ギュレン・グループによるものだとして、ギュレン・メンバーを大量逮捕したわけだが、野党CHPは、このクーデターは政府によって仕組まれたものだ、と主張している。

それは、トルコの情報機関MITのトップであるハカン・フェダンと、参謀長のフルス・アカル将軍とが、クーデターが起こる前日に、6時間の会談を持っているためだ。CHPばかりではなく、イギリス政府もこのクーデターに、ギュレン・グループは関与していない、と言っている。

その前には、ドイツの情報部BNDも、ギュレン・グループとクーデターとの関係を、否定している。また、アメリカの議会情報最高会議も、同じようにギュレン・グループのクーデターへの関与は、何の証拠も無いと発表している。加えて、EUの情報分析センターも、同様の結論を出している。

今回の将軍を含む、大量の軍人に対する裁判は、エルドアン大統領にとって、両刃の剣ではないか。軍がこの裁判を機会に、本物のクーデターを起こす可能性が、あるからだ。