イスラエルとユダヤ人については、多くの過大評価がなされ、世界中でまことしやかに、語られている。ユダヤ人が世界のマスコミと、金融を支配しており、その力で欧米全ての国々を、コントロールしている、というのが一般的だ。
しかし、そうなのだろうか、と何度も自問してみた。実はユダヤ人とは犠牲を強いられる、運命にある人たちではないのか、と思う事すらある。ホロコーストなどはその典型であろうし、ロシアで起こったポグロムもそうだ。大量のユダヤ人が虐殺されたことは、歴史上で何度も起こっている。
アメリカの大統領が、世界を牛耳る人たちにとって、好都合な人物である時は、ユダヤ人もイスラエルも、その波に乗っていればよかったのだが、トランプ大統領が誕生してからは、そうはいかなくなって、きているのではないのか。
『トランプ大統領は親イスラエルだ』とよく言われているし、彼の義理の息子もユダヤ人であり、娘はユダヤ教に改宗した、とも伝えられている。だが、ユダヤ教徒やユダヤ人というだけで、イスラエルが安泰とは限らない。
ユダヤ教原理主義者のあるグループは、『イスラエル国家を創ることは神の意志に反することだ。』と強硬に反対し続けているのだ。この人たちはれっきとしたユダヤ教徒であり、そのことを誰も否定できない。
つまり、トランプ大統領はイスラエルを支持するが、イスラエル政府の今の方針には反対だ、という事もありうる、という事ではないのか。トランプ大統領は『二国家解決でもいい。』と言い出している。つまり、イスラエル国家の他に、パレスチナ国家が出来ることに、反対しないというのだ。
イスラエルの現在の動きを見ていると、ヨルダン川西岸地区をイスラエルに併合し、大イスラエル構想を実現したい、という事ではないのか。加えて、現在エルサレムにある、アクサモスクを破壊し、そこにソロモン神殿を建設したい、という事ではないのか。
しかし、このことが事実であるとすれば、必ずイスラエル国民とユダヤ人は、世界中で虐殺される危険に、直面することになろう。IS(ISIL)のような、あるいはアルカーイダのような、過激イスラム集団や個人のテロリストが、ユダヤ教徒に対する、復讐を実行することになるからだ。
トランプ大統領はその危険を知っており、何とかイスラエルに、ヨルダン川西岸地区併合を、思いとどまらせたい、と思っているのかもしれない。そのため、トランプ大統領とネタニヤフ首相との間には、考え方に溝が出来始めているのではないか。
トランプ大統領はもうじき、イスラエルを訪問するが、そのとき彼が言い出すであろうことに、ネタニヤフ首相は大きな不安を、抱いているということだ。その不安とは以下のような、もののようだ。
:トランプ大統領はイスラエルに対し、パレスチナとの和平交渉のタイム・フレームを要求するのではないか。その中には期限や国境の設定も含まれる。
:トランプは正式な交渉の始まる以前の段階から、下交渉を始めることを、要求するのではないか。そのことは入植活動を、凍結させるということだ。
:上記二項目はネタニヤフ首相を、苦境に立たせるのではないか。すでにある党は和平交渉をするという事だけで、ネタニヤフ首相との協力関係を終わらせている。
:交渉が失敗した場合に、ネタニヤフ首相がその責任を、負わせられる危険性がある。
:内閣内部にも、パレスチナとの和平交渉に反対の者がおり、ネタニヤフ首相が交渉を始めれば、彼らは内閣を去ることになり、イスラエル政府は機能しなくなる。
いまユダヤ人は三度目の大虐殺、という地獄に向かい始めているのではないのか。それを避ける唯一の方法は、膨大な軍事費を費やして、兵器の装備を整ええることではなくて、パレスチナに国を持たせることではないのか。
どんなに頑丈な壁でも、必ず崩壊するのが、世の常なのだから。世界の大王や皇帝たちが、膨大な費用をかけて建設した墓でも、その後に荒らされていないモノは一つもないのだ。