『アラブ首長国連邦がリビア問題に介入』

2017年5月 3日

 

 アラブ湾岸諸国の一つである、アラブ首長国連邦が、北アフリカのアラブ国であるリビアの、国内紛争に介入し始めた。アラブ首長国連邦はいままでも、東リビア政府のハフタル将軍を、支援してきており、具体的には戦闘機を送りこみ、爆撃などもやってきていた。

 今回はリビアの西にある政府(統一リビア政府)と、東にあるトブルク政府との仲介に、アラブ首長国連邦が乗り出した。具体的には、アラブ首長国連邦のアブダビ政府軍参謀長である、ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン王子が乗り出したのだ。

 その結果、西側のセラジ首相と東側のハフタル将軍は、来年統一地方選挙を行い、リビア議会を再結成することに合意した。この進展を見て、西部のハムド・ベンダーク議員は『アブダビでのセラジ首相と、ハフタル将軍との会談は、リビアの政治問題の解決に、期待を持たせるものだった。近い将来、リビア国内は安定した状態になろう。』と希望的観測を述べている。

 問題は現在のリビアには、3つの政府が存在するということだ。リビアの西のトリポリには統一政府と救済政府が存在するし、東にはトブルクとベイダに、本拠地を持つ、ハフタル将軍も参加する、臨時政府が存在するのだ。

 このリビアのセラジ首相とハフタル将軍の、アブダビ訪問に次いで、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド。アール・ナヒヤーン王子を、エジプトのシーシ大統領が訪問する、予定になっている。その折には、エジプトとアラブ首長国連邦との二国関係に加え、リビア問題が話し合われる予定だ。

 エジプトもアラブ首長国連邦同様に、これまでハフタル将軍を、支援してきている国だ。ハフタル将軍はリビアのカダフィ―政権から逃れ、アメリカに20年ほど、亡命していた関係から、アメリカとの関係も、強いものと思われる。

それ以外に、最近ではロシアとの関係を、強化してきている。ハフタル将軍は何度か、ロシアのモスクワを訪問しているし、ロシアの艦艇がリビアに寄港した際には、ロシア側と艦艇で会談を行ってもいるのだ。

 アメリカ政府はハフタル将軍を、リビアで革命が始まると同時に、リビアに送り返しているという事実がある。つまり、ハフタル将軍はアメリカとの、秘密の関係があった、あるいはいまでもある、ということではないのか。

 今回のアブダビの動きに合わせて、エジプトのシーシ大統領が動くということは、アメリカとエジプトも、アブダビの仲介を支持していると、いう事であろうし、ロシアもしかりであろう。

 これで一応は、全てのプレイヤーが揃ったのだが、今後、リビア問題がどう進展していくのかについては、予測が困難だ。とりあえず、こうした動きがいい結果を生み出す方に、期待をしよう。