シリアのトルコとの国境地帯が、緊張している。ここの地域はシリアのクルド武力組織、SDFが抑えている地域であり、彼らはIS(ISIL)と、勇敢に戦っている。それを支援しているのは、アメリカの海兵隊であり、SDFとアメリカ軍は、一体となってIS(ISIL)と、戦っているのだ。
このアメリカ・クルド合同軍は、トルコとの国境をパトロ-ルしているが、それはトルコにとっては、実に不愉快なことであろう。アメリカは再三の、トルコ政府の要請にもかかわらず、クルド組織(SDF)に最新の武器を、大量に供与している。
それらの武器が、やがてトルコ軍に向けられて、使われる確率は、極めて高いという予測によるものであろう。そのため、トルコはSDFに対して、攻撃を加えざるを得なくなり、最近実行している。
しかし、そのSDFはアメリカ軍と、一体となっているため、トルコ軍がSDFを攻撃するという事は、アメリカ軍も攻撃する、ということになるのだ。それでアメリカ軍は、自軍のなかから死傷者が出るのではないか、と懸念せざるを得ない、状態になってきている。
もちろん、アメリカ政府はトルコ政府に対して、国境地帯への攻撃を止めるよう、説得するのだが、トルコ政府側はこれに対して、SDF(YPG)がRPGなどを撃って来るから、反撃せざるを得ない、と返答している。
アメリカ政府はトルコに対しても、SDFに対しても『我々の共通の敵は、IS(ISIL)であり、連携してIS(ISIL)を、攻撃すべきだ。』と主張している。しかし、トルコ側はこのアメリカの主張に、耳を貸す気配はない。
それどころか、今後SDFも遠慮せず、トルコ軍に攻撃を加えるようなことになれば、トルコ軍の反撃も激しいものになり、アメリカ軍のなかからも、死傷者が出る可能性は高まろう。
これまでの、トルコ・シリア国境への、トルコ軍の攻撃、SDF(YPG)の戦闘員20人が空爆で死亡し、18人が負傷しているし、同地域のSDF(YPG)の司令部も、破壊されている。
トルコのエルドアン大統領が訪米するのは、もうすぐだが、エルドアン大統領はこのことについて、どう自分の側の正当性を、主張するのであろうか。その辺の言い回しを失敗すると、完全にアメリカはエルドアン体制を見捨て、関係を断絶するかも知れない。
気になるのは、アメリカ・クルド合同軍が、ラッカのIS(ISIL)本部を破壊し、この街からIS(ISIL)を掃討することに成功した場合、IS(ISIL)の戦闘員はトルコに、移動せざるを得まい。彼らはトルコのなかで、客人として静かにしているのであろうか。
あるいはトルコでも体制に対する、武力挑戦を試みるのであろうか。IS(ISIL)によるテロ事件は、既に、トルコ国内で何件も、発生しているのだ。