『中国ウイグルはトルコの保護下でIS参加』

2017年5月21日

 

 中国の西の果て、新疆ウイグル地区はイスラム教徒地域であることは、少しずつだが日本でも、知られるようになってきている。このイスラム地域に対する、中国政府の弾圧と、同化政策が厳しいことから、同地域の住民の間に、反政府の動きが始まって、久しい。

 なかでもウイグル人の反政府感情は強く、中国国内でもテロを起こしている。彼らはいま、IS(ISIL)という組織やヌスラ組織といった、イスラム原理主義組織に参加することにより、戦闘の実戦訓練を、受けられるようになっている。

 2年ほど前であろうか、中国国内でトルコの真性パスポートが、出回ったことがある。そのパスポートに自分の写真を貼り付ければ、正規のパスポートとして、通用するものだった。

 このパスポートを入手したウイグル人たちは、インドネシア、マレーシアといった国を経由してトルコに入り、そこからシリアやイラクの、戦場に入っていた。インドネシアやマレーシアは、イスラム教徒の国であり、中国から来たイスラム教徒は歓迎され、問題が起こらなかったのであろう。

 さて、このトルコパスポートは、誰が中国国内でばら撒いたのか、ということになるが、それは民間やマフィア組織ではなく、トルコの情報機関のスタッフによるものではなかったか、と思われる。

 実は最近になり、トルコのイスラム機関が、シリアのアサド体制を倒すために、ウイグル人をリクルートしていた、という情報が漏れてきているのだ。しかも、それは2011年の段階から、始まっているというのだから、シリアで内戦が始まったと、同じ年だということだ。

 最初のウレイグル人がシリアに登場したのは、ヌスラとの連帯によってだったが、ウイグル人はその前に、キルギスで中国大使館へのテロを、仕掛けている。キルギスはウイグル人への旅券、旅行書類の、通過ルートだったようだ。

 当然、中国政府は何度もトルコ政府に対して、このことを伝え善処を要請するのだが、トルコ側は具体的な行動を取らなかった。エルドアン大統領の訪中時にも、口では約束するが、実行はしていなかった。

 2015年にはトルコ・シリア国境で、324人のウイグル人が逮捕されたが、その後どう処理されたのかは、明らかになっていない。トルコ軍に言わせると、36パーセントの非合法入国者らの、シリアへの出国者は逮捕しているというが、それも逮捕後にどうなったのかは、明らかにされていない。

 これらウイグル人たちのなかには、麻薬の運び人や、パリやブリュセルで起こった、テロに関係する人物もいるのだ。つまり、極めて危険な存在だといえよう。

 トルコ政府は全ての主要な人物を把握し、監視下においている。しかし、彼らは何の圧力も受けずにいられるのは、エルドアン大統領とトルコのイスラム幹部による、支援があるからだ。

 ここにエブ・ベキルという人物が登場する。彼はトルコ、シリアの国境通過の鍵を握る人物であり、彼の電話が盗聴された記録がある。それはエブ・ベキルとIS(ISIL)側が戦闘員の数を、確認しているからだ。エブ・ベキルはIS(ISIL)側に何日に何人が、トルコ・シリア国境を通過した、と知らせる仕組みだ。

 例えば、20141118日の電話で、エブ・ベケルは1440人を送り出した、と伝えている。それ以前の20141030日には72人、114日には57人をトルコからシリアに送り出している。エブ・べキルはISメンバーが、トルコに入ることも、手伝っているのだ。

 つまり、トルコ政府はこれらの動きを、正確に把握しているわけであり、エブ・べキルはトルコ政府の指示の下に、この仕事をしているということだ。2014年には1ヶ月に、500人のウイグル人がシリアに、送り込まれているのだ。