『ロシア地上部隊シリアに派遣意向』

2017年4月25日

 

 ロシアはシリアの現状と、欧米のシリアに対する関与を、どう見ているのであろうか。ここに来てロシアは、シリアに対して地上部隊を、派遣する意向のあることを発表した。

 シリアに対して、ロシアが地上部隊を派遣する構想は、以前からプーチン大統領が考えたことであり、それがやっと実現する状況になってきた、という事であろう。つまり、プーチン大統領はどうしても、シリア問題をロシアの構想に則って、解決したいと考えている、ということだ。

 もちろん、ロシアが空軍の派遣に加え、今回のような地上部隊の、派兵を考える場合、その前提となるのは、シリア政府の意向だ。シリア政府の要請なしに、出て行ったのではアメリカと同じに、単なる蛮行であり、国際法違反ということになる。

 アメリカは自国の行うことは、全て正当であり、世界のどの国もそれを非難出来ない、と考えているが、もし、同じことをロシアや中国が行った場合、猛烈な反対の論陣を張ることは、見え透いている。

 ロシアがシリアに送ろうとしているのは、ミサイル部隊を含む地上部隊であり、特別部隊だ。つまり、プロの戦闘集団を送るという事であり、各種の高度なテクノロジーも持ち込む作戦が、既に立案されているということだ。

 ロシアが地上部隊をシリアに、派兵することを考えたのは、アメリカと話し合って作戦を進めていては、シリア問題を解決することは出来ない、という結論に、達したからではないだろか。

 問題はアメリカがこのロシアの構想に、どこまで邪魔をしてくるか、という事であろう。アメリカ軍が横槍を入れるようなことになれば、場合によっては、ロシア軍とアメリカ軍が、シリアで衝突する、あるいは航空部隊が上空で、戦闘機同士の戦いを展開することも、ありうるという懸念がもたれる。

 アメリカは先の化学兵器使用による、犠牲者が出た問題で、証拠を提示すること無く、シリア政府がやったと非難したが、後にガス兵器はトルコから、テロリスト側に渡されたものであり、その隠匿場所をシリア軍は、化学兵器の存在を知らずに、空爆したために、ガスが漏れ出して被害者が出た、ということが報告されているし、シリア政府も同じ反論をしている。

 ロシアが本格的にシリアに乗り出せば、このようなケースの場合、国際的な調査団を受け入れ、公平な調査結果を出させることであろう。アメリカのごまかしが効かなくなる可能性が、あるということだ。

だが、同時にそれはアラブ諸国のなかにあって、アメリカを支持している、サウジアラビアやカタール、ヨルダンなども非難される、危険性があろうし、それらの体制も不安定化する、危険性があろう。

中東世界ではロシアの動きによって、黒いベールが少しずつ、めくられ始まった、という事であろうか。