『きな臭さを感じさせるサウジアラビア』

2017年4月25日

 

*エジプトのシーシ大統領が、日曜日からサウジアラビアを訪問したが、この訪問団には大半の閣僚と、軍の高官が加わっていた。現状からすれば、軍の高官が参加しても不思議はない、という事であろう。エジプトとサウジアラビアとの間では、リビア、イラク、シリア、イエメン問題が討議されるわけであり、それには軍幹部の参加も、必要であろう。*
それ以外には、文化協力、教育協力、経済協力、医療協力、開発協力などが話し合われるようだ。シーシ大統領のサウジアラビア訪問は、2日間に渡るとされているが、到着早々に、サウジアラビアのサルマン国王との、会議がもたれている。*
サウジアラビアは情報規制が厳しく、具体的に何が話し合われたのかについての情報は、断片的にしか出てこないだろう。そこで推測すると、いまサウジアラビアとエジプトにとって、何が喫緊の問題か、ということだ。
エジプトにとっては、経済改善が最優先であり、次いでリビア問題という事に、なるのではなかろうか。もちろん、それ以外のシリアやイラク、イエメン問題も重要だろうが、エジプトの経済に直結するのは、やはりリビアであろう。
他方、サウジアラビアにとって何が重要かというと、イエメン問題ではないのか、既にイエメンとの戦争状態は、2
年以上が経過していると思うのだが、その間に、サウジアラビアが投じた、兵器輸入代金は巨額に上ろう。
石油価格の低迷に合わせ、イエメン戦争はサウジアラビアにとって、最大の頭痛の原因であろう。エジプトがどこまで具体的に、軍事協力してくれるのかが、討議のポイントなのではないか。エジプトはこのことについては、小出しにしか協力していないのだ。
石油価格の低迷が、サウジアラビアの経済を悪化させており、つい最近では、公務員給与のカットが行われたが、そのことは、サウジアラビア国民の間に、不満を拡大していることであろう。
加えて、シリアやイラクに追い出していた、犯罪者の戦闘員たちが、IS(ISIL)の敗北が続くなかで、帰国していよう。そうなると、彼らがサウジアラビア国内で反政府テロを、始めても何の不思議もなかろう。今回のエジプトのシーシ大統領の、サウジアラビア訪問の真の目的は、両国のテロ対策ではないか、と思えるのだが。