『エルドアン破れたり・まかり通る投票結果のごまかし』

2017年4月17日

 416日はエルドアン大統領にとって、最もグレイな日であった、というかブラックな日であったろう。新憲法の是非を問う国民投票で出た結果は、全くエルドアン大統領の期待とは、異なるものだったからだ。

政府は5141パーセントが改憲賛成であり、反対派48・59パーセントという結果を発表したが、誰もこの政府の出した投票結果を、信用していない。与党に最も近いMHPの幹部女性議員ですら、52パーセントが改憲に反対票を投じた、と語っている。

クルドのHDP党は562パーセントが改憲反対であり、438パーセントが改憲支持、CHP党派54パーセントが改憲反対で46パーセントが改憲支持という判断だ。

政府は多分改憲反対票であったのであろう200万票を、無効投票とした。また、政府の正式な投票用紙とする印鑑を、押していない投票用紙が、多数投票箱から発見されているが、各地の選挙管理委員会は、政府の命令でそれも正式な票とし、認めるよう命令があった、と語っている。

 今回の投票の後、アメリカ政府は問題があった、今後の推移を見続けたい、という内容のコメントをしたようであり、アメリカはヨーロッパン投票監視委員会が出す結論を待つ、とも語っている。ヨーロッパでは著名な議員や学者が、揃って今回の投票は信用できない、ごまかしだった、と非難している。

 イスタンブールのベシクタシュ広場には、多数の市民が集まり、『政府は殺人者だ。』『政府はドロボーだ。』と叫んでいるということだ。

 政府というかエルドアン大統領は、今回の投票結果が出た後、政府が発表する結果を信用させるために、当初60パーセントほどの支持に、ごまかそうとしていたのを、5141パーセントに抑えたのであろう。僅差であれば国民も外国も、投票結果の発表を信用する、という計算に基づいたものであろう。

 しかし、それにしてもエルドアン大統領にとっては、今回の結果はショックであったようだ。当然彼が得意満面でやるはずの、投票結果祝勝集会に、彼は出ないと言い、暗い表情と言葉少ない様子を、テレビで放映されている。

 今回の投票結果の特徴は、全ての大都市で、エルドアン大統領が敗れたことだ。イスタンブールでもアンカラでも、イズミールでもアンタルヤでも、アダナでもデヤルバクルでも、エスキシェヘルでも、73あるいは64の比で敗北しているのだ。

 このことは、今後の地方選挙に影響が出て、与党AKPつまりエルドアン大統領の政党は、地方議会でも連立を組まなければならなくなった、という事だが、今回の結果は、それを不可能にするのではないのか。