『トルコに二つの危機的情報』

2017年4月 9日

トルコはNATOのメンバー国として、西側の一員のような立場にあった。述べるまでも無く、トルコはNATOとアメリカにとって、中東戦略の要であった、ということであろう。

 ところがここに来て、そのトルコの地位は大きく、揺らいでいるのだ。アメリカは以前にも報告したが、トルコの南東部にあるインジルリク空軍基地について、『使わなくてもいい。』と言い出していた。

この基地は2002年以来、アメリカ空軍が使用してきていたのだ。この基地はアメリカにとって、中東全域なかでもアラブ湾岸防衛にとって、大きな意味を持っていたのだが、それを必要ないと言い出したのだ。

 このアメリカの立場は。トルコに対する警告であったのであろう、最近になり、アメリカはシリア国内に、5箇所の空軍基地を持つことになり、インジルリク空軍基地から本格的に、撤収することになった。

 それらの空軍基地は、大急ぎで拡充工事が進められており、タブカの基地は相当巨大なものになるようだ。それ以外にもアメリカは、ハジャル、カミシリ、コバネなどにも空軍基地を持っている。なかでもタブカ基地は、アメリカ軍属が2500人居住できる、本格的なものになる予定だ。

 これらの空軍基地の整備が終われば、アメリカ空軍は、これまでの2倍の規模の戦闘機、ヘリコプターなどの、展開が出来るようになる、ということだ。

 アメリカばかりではない。ドイツもインジルリク空軍基地の使用を、取り止める方針だ。そしてドイツはキプロス、ヨルダンに移動するということだ。ドイツがインジルリク空軍基地からの、撤収を決めたのは、トルコとの関係が、悪化し過ぎたからであろう。

 トランプ大統領はトルコのエルドアン大統領との関係を、冷却化する方針でいる。そして、直接的にトルコ軍との関係を、促進したいと思っているようだ。その事はトルコ軍がクーデターを計画した場合、トランプ大統領は直接か間接か、クーデターを支持する、ということであろうか。

 アメリカがシリアに空軍基地を、5箇所も持つということは(1)イスラム・テロ対応、(2)イランのシリア台頭阻止、(3)クルドのPYD、YPGへの支援といったことが、目的であろうか。

 もう一つトルコにとって、アメリカとの関係悪化の情報がある。それは、アメリカのなかに、反エルドアンの組織が生まれ、アメリカ・マスコミへの攻勢が、拡大しているということだ。それらの組織はワシントン、メリーランド、バーカメンなどに誕生し、宣伝活動を活発に展開している。

 加えて、アメリカの有力議員で、反ギュレン派の立場に立っていた人物が、最近になって、完全に親ギュレン派に、転向したことだ。こうしたことを、ワシントン・タイムズは報じているが、トルコ側に対して、スポンサーが誰なのかを、明かさないでいるようだ。

 その一人がローラ・バッチャー議員だが、氏は以前ギュレン・グループの組織するTUSKONの招待で、トルコを訪問している。元反ギュレン派だったルービン議員も転向組の一人で、彼はエルドアンがアルカーイダやIS(ISIL)を、支援していると非難している。

 いまアメリカでは、次第にエルドアン大統領に対する、敵対的な考えが拡大している、ということではないのか。アメリカのDIA(国防情報局)のトップは、エルドアン体制が長くは持たない、と言っていた。その時期が来たのであろう。彼はトルコ国内で『戦争にはならないが紛争が起こる、』とも予告している。