案の定といえば、何か軽いことのようだが、アメリカ軍によるミサイル攻撃で、シリア人が204人死亡したようだ。第一報では9人が死亡し、うち4人が子供ということだったが、その後の情報を見る限り、子供の死亡者数はもっと多いだろう。
アメリカ軍の発表によれば、60発程度の巡航ミサイルが、打ち込まれたのだから、犠牲者が出るのは当選の結果、ということであろうか。ただここで笑えるのは、ロシアの発表によれば、アメリカの最新鋭(?)の、巡航ミサイル59発のうち、標的まで届いたのは23発であり、後は何処へ飛んで行ったか、分からないということのようだ。
イラク戦争の時も、アメリカ製のアロー・ミサイルの命中率が、極めて悪かったことが報じられているが、あの時もあたかも百発百中のような、報道が主役だった。アロー・ミサイルを信じたイスラエルは、とんだ被害を受けることに、なったということだ。つまり、アメリカ製の武器兵器は、あまり信用できない、ということなのかもしれない。
今回のアメリカのシリア攻撃については、ロシア、中国、イランなどが、明確な反対に回ったのは、当然であろう。ロシアにしてみれば、支援しているシリアが攻撃されたのだから、反発して当然であり、一部ロシア軍にも被害が、出ているかもしれないのだ。
中国にしてみれば、アメリカ軍の攻撃が、訪米中に行われたことで、明らかな脅しが、アメリカのトランプ大統領から、シュウキンペイ主席にプレゼントされた、ということであろう。
中国は今回のアメリカによる攻撃を見て、南沙諸島への攻撃や、北朝鮮への攻撃を覚悟しなければ、ならないかもしれない、ということだ。
トルコのエルドアン大統領は大喜びであろう、彼はアメリカのシリア攻撃を、支持しながらも、まだ不十分だと息巻いている。ユルドルム首相も然りで、アメリカの攻撃大賛成という立場を明確にしている。
アラブ諸国では一部の政府は、立場を明確にしていないが、大衆は反米感情をむき出しにし、アメリカの今回の蛮行を、非難している。アラブ諸国の大衆にしてみれば、シリアで起こっていることは、明日はわが身なのだから無理も無かろう。
もう一つのポイントは、今回のアメリカによるシリア攻撃でISなどが元気を取り戻し、攻勢に出ているということだ。そのため、今回のアメリカによるシリア攻撃は、実はISなどからの、要請によるものではなかったのか、という憶測が飛び交っている。
イエメンではアメリカが、ISやアルカーイダと同じ側で、戦っているのだから、そうした憶測が飛んでも、不思議はあるまい。もちろん、今回のアメリカ軍のシリア攻撃を、サウジアラビアは全面的に受け入れ、賞賛している。
サウジアラビアはスンニー派のリーダー国として、シリアのアラウイ派(シーア派の一派)のアサド政権は、一日も早く打倒したい、と考えている。そのシリアのアサド体制を、全面的に支援しているのがイランだ。
イランはサウジアラビアをイエメンのホウシ派支援、レバノンのヘズブラ支援、シリアのアサド体制支援、イラクのシーア派支援で、包囲しようと考えているのだ。イランがその気になれば、ペルシャ湾の出口ホルムズ海峡の閉鎖も、起こりうるのだから、サウジアラビアを始めとする、アラブ湾岸諸国にとっては、首根っこをつかまれているような、気分であろう。
こうした各国の利害が、今回のアメリカ軍のシリア攻撃に対する、個々の反応を呼び起こしているということだ。ちなみに、日本はアメリカの攻撃を支持した、とアラブでは報じられているようだ。安倍総理はそうは発言していないのだが。