『イランのクルドが動き出す・何故いま?』

2017年4月 2日

 

*イランでクルド人が体制に抵抗して、動き始めるようだ。あるいは既に始まっているのかも知れない。イランには7700万人の人口のうち、クルド人の人口が10パーセントを占めている、とクルド人は主張している。770万人というクルド人の人口は、少なくは無いだろう。

しかも、クルド人はイランの隣国である、イラクにも多数居住しており、イラクのクルド人は昨今では、イラク北部に自治区を持ち、独自の政体も持っており、半ば独立した状態にあるのだ。*

そして、シリアでも2014年以来、クルド人は準自治とでも、言えるよう状態にあるのだ。そうなると、イランのクルド人も、イラクやシリアのクルド人に、負けじとばかりに、自治獲得への戦いを、激化させていくということになろう。

イランのクルド人が居住する地域は、イラクに隣接する地域で、クルド人はそこをロジェラトと呼んでいる。そこではクルド人の習慣が守られており、春にはノールーズの祭りが、全地域で開催される。

ノールーズの祭りでは、男たちが火の上を飛び越える催しもあるが、これは、あるいはゾロアスター教の、影響なのかもしれない。そのノールーズの祭りが、今年は相当盛り上がり、イランの体制に楯突く様相を、呈してきたということだ。

イランのクルド人は1945年以来、PDKIという独立運動組織を結成し、抵抗を続けてきているが、その事務総長ムスタファ・ヒジュリ氏は、昨年からクルド人と、イランの革命防衛隊との、衝突が増えている、と語っている。

そして、驚くことに、このイランの革命防衛隊との衝突で、北イラクのクルド自治政府の軍隊、ペシュメルガが加わっているというのだ。しかも、ペシュメルガ軍はイラン国内に、常駐しているということだ。

イランでは今年の5月に、選挙が実施されるが、ムスタファ・ヒジュリ氏はハメネイ師が全てを牛耳っており、議員も大統領も権限を発揮することは出来ない、操り人形だと酷評している。

クルド人はイランの体制下で軍の弾圧を受け、差別され、政治からも除外されている。差別が酷く抵抗のための暴力の行使も、阻止されている、とイラン政府を非難している。

クルドはイラクでも同様に、弾圧の対象であり、PDKIのメンバーが追放されたばかりではなく、多くのPJAK(クルド自由生活党)メンバーも追放されたし、PAK(クルド自由党)のメンバーも追放されている、とムスタファ・ヒジュリ氏は語っている。

ムスタファ・ヒジュリ氏によれば、イラクでIS(ISIL)の掃討作戦が成功すれば、クルドが次のターゲットになり、イラクとクルド地域との緊張が、高まろうということだ。確かに、北イラクのクルド地域では、イラク国旗に並んで、クルドの旗が掲げられたことに、イラク政府は激怒している。

何故いまクルドの動きが、活発になったのであろうか。アメリカはシリアのラッカ奪還に、クルドのYPGを使うことを決め、トルコの反対を押し切って、ラッカ奪還作戦を進めるつもりのようだ。その事はクルドとアメリカとの間に、何らかの密約が生まれている、ということかもしれない。