ある友人から昨夜、トルコの経済に関する質問を受けた。それは日経新聞が書いた記事の、トルコのGDPに対する疑問だった。彼は敏腕の元商社マンであり、数字には明るい。直感でおかしいと感じたのであろう。
彼からの質問は『日経に乗ったということは、多くのビジネスマンがそれを、鵜呑みにする危険性があるんだが、実態はどうか。』というものだった。こうなると私にも少しは責任がある気がしたので、トルコのマスコミからそれに関する記事を、拾い上げて調べてみた。
日経にはトルコの昨年のGDPは、2.9パーセントと出ていた、ということだが、それは少し高いというのが、友人の判断だ。トルコの記事を読んでいて分かったことは、この2.9パーセントという数字が、実は発展途上国や先進国の平均が2.9パーセントという数値であることに、一因があるということだった。。(ロイターの予測記事の数値は2.2パーアセントだった。)
次いで思い浮かんだのは『建設部門が牽引役。』という、トルコの記事からだった。つまり、建設部門がGDPを押し上げている可能性があるということだ。産業部門がGDPの伸びに対し4.5パーセントにあたり,建設部門は7.2パーセントに当たる、という数値から感じたのだ。
それは実はエルドアン大統領が強引に進める、メガ・プロジェクトによるものであろう。メガ・プロジェクト、巨大な、大計画といった言葉は、ネオ・オスマンの皇帝スルタン・エルドアン大統領の耳には心地よい言葉のようだ。
そのため、トルコでは幾つもの、メガ・プロジェクトが進められてきたが、その資金の多くは外国からの、借り入れによるものだ。ある橋をボスポラス海峡にかけたのだが、それは外国の企業が建設したもので、建設費用の支払いは、橋を通過する車両から得られる、橋の使用料から支払う、というものだった。
トルコ政府は一日5万台の車が、通過すると予測して、その旨を外国企業側に伝え、その事をベースに支払い条件、は決められた。トルコ政府はその料金の支払いを保証したらしいのだが、実際に通過する車の量は1万台であり、残り4万台分はトルコ政府が負担することに、なったというのだ。
メガ・プロジェクトで立派な橋が、出来たのはいいのだが、それが原因でトルコ政府は、とんでもない出費を強いられることに、なったということであろう。
いまのトルコ政府の発表する各種の数値は、ほとんど水増しが多く、信じ難いものが多い。今度の4月16日に実施される、新憲法に対する国民投票の結果も、相当手が加えられた、水増しの支持数値が、発表されることになろう。
トルコ政府は60パーセント以上の支持を得たい、出来れば70パーセントに達したい、ということであろうが、反政府側がはじき出した予想では、48・7パーセントということだ。まあ結果がどうなるかはもうすぐ分かろう。