『アメリカのシリア攻撃はISを利するだけ』

2017年4月20日

 

 今月の初旬に、アメリカ空軍はシリアの空軍基地を、攻撃した。しかし、その成果はIS(ISIL)対応には、何の役にも立っていない、というのがロシア側の反応だ。結局は、アメリカの攻撃は何時も、IS(ISIL)に有利な条件を、生み出している、というのだ。

47日に行われたアメリカ空軍による、シリアのシャイラト空軍基地への攻撃は、国連が認めたものではなく、単なるアメリカ軍の暴挙に過ぎなかった、とロシアのメドベージェフ氏は議会で、報告している。

 しかも、アメリカ空軍によるこの攻撃は、国際法に違反するものでもあった。ロシアのメドベージェフ氏は『今後何が起こるかについては分からないが、今回の攻撃は、結果的に、IS(ISIL)を有利にするものであったことは、確かだった。』と語っている。

 『アメリカによるシリアへの攻撃は、いままで常にシリア政府側を、助けるものではなく、IS(ISIL)を有利にする効果しか、生み出し来ていない。』ともメドベージェフ氏はコメントしている。

 メドベージェフ氏は重ねて『アメリカが好むと好まざるとに関わらず、シリアのアサド体制は、法的に正当なものであり、アメリカの攻撃はシリアそのものを、破壊する危険なものだ。』とも語った。

 シャイラト空軍基地に対する、アメリカ空軍の攻撃の根拠は、これに先立つ、44日に起こったハーン・シャイクーンに対する、シリア空軍による化学兵器攻撃への、報復であったとされ、欧米諸国はそれに賛同している。

 しかし、シリア政府はこの攻撃に、全く関与していない、と反論している。シリア政府の説明では、IS(ISIL)などが隠れているビルに、攻撃を加えたところ、そこには化学兵器があり、被害が発生したのであり、シリア側には責任がない、ということだ。

 メドベージェフ氏はハーン・シャイクーンの出来事は、アメリカなどによって、綿密に練り上げられた計画だった、ということになる。アメリカが正しいのかロシアが正しいのかは、時間が正確な答えを出すことになろう。ただ、シリアは国連や世界の圧力で、既に全ての化学兵器を2013年ごろに破棄しており、所持していないはずだ、だからこそ、シリアのムアッレム外相は『化学兵器はトルコから、テロリスト側に提供されたものだ。」と語ったのであろう。