『クルドとイラク・シリアのISの将来』

2017年3月29日

 

 もちろん、我々のような一般人には、真実はわからない。出来ることは、もれてくる情報のなかから、信頼できそうなものを、つなぎ合わせて一つのストーリーを、書き上げることだ。

 イラクやシリアで、IS(ISIL)はだいぶ追い込まれているが、彼らは今後どうなるのであろうか。かつて、アブーバクル・バグダーデイが語ったように、自国に帰るか、最後まで戦って死ぬか、の二者択一しかなさそうだ。

 フランスのルペン党首は、IS(ISIL)のメンバーが多数帰国し、フランスは危険な状況になって行くだろう、と警告している。それは一般人にも分かる予測だ。フランスばかりか、他のヨーロッパ諸国も同様に、危険の度を増して行こう。

 アメリカ側からいIS(ISIL)の将来に関する、情報が洩れてきている。同時に、クルドの将来についても、この情報は触れている。

 その情報によれば、来る4月中にシリアのIS(ISIL)の首都ラッカは、シリア政府軍やアメリカ軍、そしてアメリカが支援する、SDF軍などによって、解放されるというのだ。つまりIS(ISIL)は自分たちの国家イスラム国家の、首都だと宣言してきていたラッカを、手放すということになるのだ。

 サウジアラビアのアルハヤート紙は、既に900人の戦闘員がラッカら逃げ出した、という記事を掲載している。

 まさに、アブ―バクル・バグダーデイが言ったように、彼らは自国へ帰還するか、他の国に移動したという事であろう。もちろん、なかにはラッカを離れて、シリアの他の地域に移動し、戦闘を継続する者もいる、と報告されている。

 いずれにしろ、アメリカから入ってきた情報によれば、IS(ISIL)はこの夏に崩壊し、イラクにもシリアにも、残らなくなるということのようだ。そのことは、アメリカにはそれだけの力がある、という事であろうか。あるいは、IS(ISIL)がアメリカによって結成され、庇護されてきた組織だからであろうか。その判断は読者に任せることにしよう。

 もう一つの情報は、クルドに関するものだが、クルドは近い将来、大クルド国家を持つに至る、という事のようだ。その新生クルド国家は、イラク北部からシリアに広がるものであり、イラクはバグダッドから北東に、100キロ少し離れたデヤラ以北、スレイマニヤやキルクークを包含している。

そして、シリアでは北東の街カミシリ、ハサカそしてマンビジュ、コバネ、テルアビヤド、アルバーブ、そして飛び地としてアフリンが含まれている。果たして、イラクのクルドとシリアのクルドが、問題無く連邦国家を結成できるか否かについては、彼らの判断に任せることにしよう。

述べるまでもなく、この大クルド国家構想には、トルコのクルド地区も含まれることであろう。そのことを百も承知のエルドアン大統領なのだが、トルコ人の反エルドアン派の人たちは、エルドアン大統領がクルド人に、国土を分け与えることで、合意していると語っている。真偽のほどはわからない。