『激しさを増すエルドアンのギュレン攻勢』

2017年3月26日

*来月の16日には、エルドアン大統領を生涯大統領とし、ネオ・オスマン帝国の皇帝(スルタン)とすることを認める、新憲法に対する国民投票が実施される。結果は述べるまでも無く『イエス』つまり新憲法認めるということになるのだろが、エルドアン大統領としては、やはり半数以上の支持票は、得たいと思っているようだ。彼は55パーセント、出来れば60パーセントを獲得したい、と語っている。*

そのためにドイツやオランダを始めとする、ヨーロッパ諸国に閣僚を送り込み、新憲法支持d大集会を企画したのだが、ドイツにもオランダにも拒否され、最近ではブルガリアにも、拒否されることとなった。*

このドイツやオランダの対応に、腹を立てたエルドアン大統領は、『ナチ国家と同じだ。』と激しい非難の言葉を口にしている。治安警察が警察犬でトルコ人デモ隊員を噛ませると『ローマの闘技場と同じだ。』とも非難した。*

エルドアン大統領がドイツやオランダに、どれだけ怒っているかが分かろう。しかし、それよりも危険な動きを、トルコ政府は取っている。オランダに本拠を置くリサーチ会社INOVO BV社が、50万ドルをアメリカの元DIA長官に渡し、工作しているのだ。その甲斐あって今月初めには、ニューヨークで元DIA長官のフリン氏とエルドアン大統領の義理の息子ベラトエネルギー大臣、そしてトルコのメウルート・チャウソール外務大臣が、話し合っている。また元CIA長官のウーズレー氏も、参加したということだ。*

その会合の中で出たのは、ギュレン氏を非合法に亡命先の、ペンシルバニアからトルコに連れ戻す、というアイデアだった。さすがにこの考えには、元CIA長官のウーズレー氏は、賛成しかねるという立場のようだ。*

特殊部隊がアメリカのペンシルバニアにある、ギュレン氏の本部を急襲し、彼を連れ去るというのだから、本来であればアメリカ政府の許可が無くては、出来ない作戦であろう。この作戦実施に当たっては、銃や爆弾も使われようから、死傷者が出ることは確実でもあろう。まさにアメリカ人の好きな、スパイ物アクション映画さながらではないか。*

こうした動きを支持する、コラムが登場してもいる。熱狂的なエルドアン大統領支持で知られる、コラムニストのファテイ・テズジャン氏は『トルコはペンシルバニアにいるギュレンを空爆で殺すべきだ、彼の追従者たちも殺せ。』と息巻いている。彼はギュレン・グループには、イラクのカンデル山に立てこもっていた、PKK(クルド労働党)テロリストと同じように、対応すべきだ、と主張しているのだ。*

さすがにこれらの乱暴な考えには、元CIA長官であるウーズレー氏は、ついていけないのであろう。それは人道的な見地からではなく、法的に正当性を主張できないからだ、彼は会議の後で『この動きは非合法であろう。』と語っている。エルドアン大統領は新憲法投票を前に、あせりまくっているということだ。*