イギリスの議会調査委員会が出したトルコのクーデターとギュレン・グループの意関係は『ギュレン・グループは昨年7月15日に起こった、クーデタに全く関与していない。』という結論だった。同じような結論がヨーロッパ諸国政府からも出している。
つまりエルドアン大統領の指導するトルコ政府は、ギュレン・グループが7・15クーデターを裏で取り仕切っていた、ということをでっち上げ、その後、大粛清を行ってきていたということだ。しかも、その粛清劇は未だに継続しており、今日でも多数のギュレン・グループ・メンバーの疑いを持たれた教員、軍人、警察、ジャーナリストなどが、逮捕されているのだ。
このクーデター未遂事件と、ギュレン・グループとの関係性については、ヨーロッパ諸国が民主主義を守るという立場から、綿密な調査をしていた、ということだ。そして、イギリスの議会調査委員会は、ギュレン・グループとクーデターの関係を、正式に否定したということだ。
しかし、トルコの政府系新聞アッサバーハ紙は、イギリス議会調査委員会の出した結論を前面手近時裏返して報じている。それは情報の出所をカタールのアルジャズイーラテレビとしているのだ。アルジャズイーラテレビについてはアラブの春革命報道で幾つもの嘘を報道したために、その後信頼性を置かれなくなっている。
トルコ政府もアッサバーハ紙も、この嘘報道がばれて後で問題になった場合には、アルジャズイーラの報道によったと逃げるだろう。
今回トルコのアッサバーハ紙とは全く別の報道をしたのは、トルコ・ミニッツという反政府のマスコミだった。
トルコ・ミニッツは『イギリス議会調査委員会も結論は、ギュレン・グループとクーデターとの関係は否定した。その後に起こったギュレン派狩りは、許せないことだ。』とした。しかし、クーデターに何人かのギュレン・グループのメンバーが関与していたことはありえよう。だがそれはあくまでも個人的なものであり、組織による計画ではなかった。』という説明をしている。
伊切りスン所出したギュレン・グループとクーデターとの関連については、ドイツもアメリカも『関連がない。』という結論を明確に出している。
今回、何故トルコ政府はイギリスの議会調査委員会の出した結論と、全く別の結論をイギリスの議会調査委員会が出した、と報じたのであろうか。それは4月16日に予定されている、新憲法に対する賛否を問う投票で、出来るだけ優位に立ちたいからであろう。
トルコ与党の予測では、新憲法賛成票が55%パーセントだが、60パーセントにしたいと考えている。それは実質の票ではなく、あくまでも政府が投票結果を、細工したものでしかない。多くの国民はエルドアン体制に、次第に冷めた立場をとり始めている。それは経済の悪化失業率の上昇、インフレ問題等の影響であろう。