『そろそろ御仕舞いか・エルドアン悲喜劇』

2017年3月23日

トルコのエルドアン大統領は喜劇と悲劇と、アクション劇とがごちゃまぜの舞台を、演じて見せていた。そして、その結果は、彼を狂気の罠にはめたようだ。これまでの彼の言辞を拾い上げてみると、まさにその通りなのだ。

 昨年の7月には、クーデターという大舞台を用意し、その後には悲劇のクーデター関係者に対する、逮捕投獄劇が始まる。まさに悲劇の典型であろう。受刑者の主人に赤ちゃんを見せようと、連れて行った夫人が、そのまま投獄された、という話も聞こえてきた。

 次なるイベントは、トルコの憲法改正(改悪)劇だ。大統領にすべての権限を集中する、という独裁体制強化の憲法改正なのだが、そのことは、トルコとヨーロッパ諸国との関係を、最悪な状態にした。

 ヨーロッパ諸国に居住する、トルコ人に憲法改正賛成票を投じさせるべく、エルドアン大統領は各国に、大臣や首相を送り込み、大集会を計画するが、治安上の理由という事で、皆断られたのだ。

 エルドアン大統領はこれに激怒し、『ドイツのやっていることはナチと同じだ。』と非難する。述べるまでもなく。その一言はドイツ人を激怒させることになり、メルケル首相は再三に渡って、エルドアン大統領に抗議している。

 この流れのなかで、警察犬がデモのトルコ人に噛み付くと、エルドアン大統領は『これはローマの闘技場と同じだ』と非難をするという事が起こった。ドイツに並んでトルコに厳しい対応をしている、オランダに対しては、東ヨーロッパで起こった虐殺事件の責任は、オランダにあると言い出しもした。

 そして、つい最近では、『ヨーロッパ諸国がいまのような、トルコ対応を続ければ、ヨーロッパ人は世界中で、安全に旅行できなくなる。』と警告した。さすがにこの一言は、ヨーロッパ人全員を敵に回す結果となり、欧米のマスコミはエルドアン大統領に、大々的に反論している。

 昨日ロンドンで起こったテロが、イスラム原理主義者によるものであった場合には、トルコに対する大非難が始まるだろう。これまで何度も書いてきたように、イスラム原理主義のIS(ISIL)は、トルコが全面的に支援してきていた。

もし、ロンドンで起こったテロ事件の犯人が、IS(ISIL)のメンバーか、あるいは他のイスラム原理主義の、組織によるものであるとすれば、ただでは済まされまい。

エルドアン大統領の口から飛び出す言葉は、ヨーロッパ人に鋭い牙を、向けているという事であろう。