*イスラエルのモサドの幹部が、アメリカに対してイスラエル・パレスチナ問題の、解決に向けて新たな提案をした。それは、イスラエルとパレスチナ(ヨルダン川西岸地区)を、連邦制にするというものだ。*
これはイスラエルのマアーリブ紙が報じたものだが、モサドからのアメリカに対する連邦制による、問題解決の提案は、数週間前に行われたようだ。この提案はこれまでに、アメリカやカナダ、スイスなどを始め、25カ国が基本的に支持していた考えだ。*
もし、この連邦制が実現すれば、パレスチナ人は完全なイスラエルの、国民になることになる。そしてヨルダン川西岸地区は、30の地区に分割され、そのうちの20地区はイスラエル人が居住し、10地区はパレスチナ人の居住区となる、という考えだ。*
パレスチナ側に認められた10の地区では、パレスチナ人が地方行政を、担当することになり、教育もパレスチナ側が担当し、日々の生活の運営についても、パレスチナ側が担当することにする。また各地区にはそれぞれに、地方議会が設置されることにもなる。*
新生のイスラエル国家は、イスラエルが外交、治安、地方行政、経済などを担当する形になるということだ。また、軍はイスラエルによって運営され、国会もクネセトとして運営される。加えて国歌はイスラエルの国歌が、そのまま新生連邦国家の、国歌として採用されることになる。*
これではパレスチナ側は、イスラエル国家の支配下に置かれ、限られた範囲の自治を、許可されに過ぎないということであろう。そんなことになれば、パレスチナ自治政府は独自の外交活動が不可能となり、パレスチナの権利回復の活動が制限され、各国からの寄付を取り付けることも、自由にはならなくなるということだ。そんなことが受け入れられるとは、思えないのだが。*
果たしてこの考えが、パレスチナ自治政府に受け入れられるだろうか。ほとんどその可能性は無いだろう。もちろん、堕落したパレスチナ政府幹部よりも、一般のパレスチナ人はこのモサドの構想に、猛反発するのではないか。*
ある捉え方をすれば、今回のモサドによる、イスラエルとパレスチナとの、連邦制による問題解決の提案は、アメリカと国際社会に対して、『イスラエルはパレスチナとの共存を真剣に考えている。』という姿勢を誇示するための、ものではないのか。*
*この新提案が、パレスチナ側によってスムーズに、受け入れられるとはモサドも考えてはいまい。つまり、ある意味ではこの連邦制なる新提案は、入植拡大のための、イスラエル側の時間稼ぎなのかもしれない、ということだ。