トルコのスレイマン・ソユル内務大臣が、どう考えても脅しとしか取れない発言を公にした。それはヨーロッパ諸国との間に合意されていたシリア人難民の処遇に関するものだ。
スレイマン・ソユル内務大臣は『もしヨーロッパが望むならば毎月15000人の難民の送り届けてやる。それはヨーロッパ諸国にとっては大変なショックであろう。』と語ったのだ。
スレイマン・ソユル内務大臣はヨーロッパに対する怒りを次のよう表現でもあらわにしている『ゲジ・パークのデモも、12月17日の汚職問題も、10月6日7日の件も、7月15日のクーデター未遂事件も、その背後にはヨーロッパがいたことを、我々はよく知っている。
そしていまは、トルコが進めている新憲法投票に向けて、直接的にトルコが強国になることを恐れ、邪魔しているのだ。』つまりメウルート・チャウソール外務大臣のオランダへの入国が禁止され、新憲法賛成集会の開催を禁止したことも、ファトマ・ブリュト・カヤ婦人社会大臣の、オランダ入国に際しての逮捕事件も、皆新憲法集会を邪魔するためのものだった、というのだ。
しかし、このメウルート・チャウソール外務大臣の発言には無理があろう。オランダやドイツが、新憲法賛成集会を阻止したのは、あくまでも、両国国内の安全維持のためだったからだ。もちろん、トルコのエルドアン大統領憎しの感情も、あるだろうが。
これから先、トルコがどのような強硬手段を、ヨーロッパ諸国に対してとって来るのか、興味がもたれる。しかし、いずれのトルコの主張も、最近は論理的ではなく、トルコ国民の感情に訴える形に、なっているようだ。
そのトルコ人の感情爆発が、ヨーロッパ社会で起こった場合、トルコとヨーロッパ諸国との関係は、急激に悪化することになろう。そして、そのような事態が発生した場合、IS(ISIL)はトルコの大衆との連携といった、表現をするのではないか。
そうなれば、ヨーロッパ諸国はこれまでの、他の証拠と合わせ(トルコのISとの盗掘石油の取り引き、ISへの武器供与、IS戦闘員のトルコ領通過黙認)、エルドアン大統領がIS(ISIL)を支援している、あるいはIS(ISIL)と連携している、という主張がまかり通ることに、なるのではないのか。それはエルドアン体制にとっては、大きなマイナス要因となる、と思われるのだが。