『ロシア本格的にリビア進出』

2017年3月15日

 

 ロシアが本格的にリビアに、軍事進出したようだ。ロシア政府は否定しているが、既にロシアのエリート部隊は、エジプトとリビアの国境近くの、エジプト軍基地シデイ・ブラーニに、入ったようだ。

 この空軍基地からは、リビア国境まで95キロ、リビアのガス・石油積み出し港であるラースラヌーフやラースセイデイ(シドラ)までは、250キロの距離に位置している。つまり、ロシアはリビアの石油ガスに、大手をかけたという事であろう。

このロシアの進出には、ハフタル将軍が大きな役割を、果たしているが、ハフタル将軍の軍隊はベンガジの、イスラム原理主義組織との戦いで、既に5つの拠点を、奪還している。

 ハフタル将軍側にはエジプト、ロシアそしてカタールが、味方に付いているようで、エジプト軍は軍用機を飛ばして、ハフタル将軍の敵側を攻撃してもいる。結果的にハフタル将軍側は石油積み出し港を、抑えることに成功したわけだ。

 そこで問題になるのは、リビアについては、アメリカはもとより、ヨーロッパの国々も狙っているわけであり、フランスやリビアの旧宗主国のイタリアが、どう動いてくるかということだ。

 しかも、これらの国々は国連が擁立した、トリポリに拠点を置く、統一リビア政府のファーイズ・セラジュ首相を支援しているのだ。つまり、ロシアと欧米が真っ向から対立する、という構図もありうるということだ。

 アメリカはあるいは、トランプ大統領が言っているように、リビアには手を出さないこともありうるが、そう簡単にあきらめるとは思えない。リビアには兵器生産に必要な、高純度のカーボン繊維を作るのに適している、良質の石油があるからだ。

 そうだとすれば、アメリカやフランスなどは、リビア南部のトブ部族などに肩入れをして、リビアが安定する状態を、阻む可能性もあろう。つまり、一歩前進のように見えるリビアも、まだ当分はごたごたが続く、という事であろうか。