『プーチンがネタニヤフをイラン和解で説得』

2017年3月10日

 

 ロシアのプーチン大統領が、大仕事に手を出したようだ。いまの中東では、シリアやイラクの問題が、最重要課題であろうが、息の長い難しい問題としては、イスラエルとパレスチナの和平問題があり、もう一つは、イスラエルとイランとの関係であろう。

 プーチン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相が、ロシアを訪問したのを機会に、イスラエルとイランとの、関係改善に乗り出したようだ。もちろん、ネタニヤフ首相はそう簡単には、ロシアの言う事を受け入れまい。

 ネタニヤフ首相はプーチン大統領が切り出した、イランとの和解について、『イランはこれまで何度も、イスらエルを潰すと言ってきている。』とプーチンに異論を唱えた。これに対してプーチン大統領は、『一国を世界地図の上から消し去るという事は、BC5つまり2500年前なら可能だったろうが、いまの時代にはあり得ない。』と反論している。

 ネタニヤフ首相に言わせれば、イランは1979年のイスラム革命以来、イスラエルを敵視しており、アハマド・ネジャド大統領(2003~2015)の時期は、最悪であり、アハマド・ネジャド大統領は公然と、『イスラエルを地図から抹消する、と言っていた。』とプーチンに反論した。

 ネタニヤフ首相にとって、気がかりなもう一つの点は、イランがシリアに軍事基地を持つことだ。その基地からイスラエルが攻撃されるのではないか、という懸念を抱いている。

 しかし、こうしたネタニヤフ首相の立場は、必ずしも彼の本音では無いのではないか。イランは中東世界にあって、最もユダヤ人に理解のある、国ではないのか。イランには多数(25000人程度か)のユダヤ人が住んでおり、彼らは何の不自由も差別も受けずに、生活しているのだ。

 私に言わせれば、イランのユダヤ人はイランとイスラエル、イランとアメリカとの橋渡し役を、務めているのではないか、と思うのだが、真実はどうであろうか。イラン人のアメリカ好きは非常に強く、いまでもイラン人のほとんど全員が、アメリカを愛しているのだ。

 敵の敵は味方という考えから、これまでもアラブの敵であるイランと、アラブの敵であるイスラエルは、利益や立場、安全保障面を共有してきた、という考えが、一般的だった。いまでも、その認識に大きなずれは、生まれていないのではないか、と思われる。

 ロシアのプーチン大統領が保証人となって、イランとイスラエルとの和解を、生み出そうとすれば、ある程度前進するのではないか、と思われる。その場合、イスラエルはアメリカと、どう調整するのかという事が、最大の課題となろう。

 アメリカもトランプ大統領になってからは、国際社会のなかでの、立ち位置を相当変えるものと思われる。つまり、世界はいま大激変の時代に、入っているということかもしれない。