『トルコ・クウエイト取引150億ドルは本当か』

2017年3月22日

 

 クウエイトのサバーハ首長が、トルコを訪問した。2日間という短期の訪問だったが、このなかでトルコとクウエイトは、巨額の取引の合意に至った、と報じられている。

 クウエイトのサバーハ首長が、トルコを訪問するのは、比較的頻繁であり、昨年はOICの会議で、サバーハ首長がイスタンブールを、訪問した際にエルドアン大統領と会談している。またクウエイトで開催された、GCC会議の折にはエルドアン大統領が、クウエイトを訪問し、サバーハ首長との会談が、行われている。

 最近ではトルコとGCC諸国との関係が、深まっており、サウジアラビア、カタール、クウエイト、バハレーンなどのトップが、トルコを訪問しているが、これはトルコとこれらの国々との関係が、深くなっていることの、顕れであろう。

 クウエイトに付いて言えば、トルコにとってクウエイトは、湾岸諸国への入り口となる重要な国であり、クウエイト側にすれば、トルコはヨーロッパ・中央アジアへの、入り口となる重要な国、ということであろう。

 トルコの企業はクウエイトの空港拡張工事を、請け負っており、それは63億ドルに及ぶものだ。この仕事はトルコのリマク社が受注し、これ以外にも今後5年間に、150億ドルの事業が、進められる予定だ。

 また、クウエイトのトルコへの直接投資も、2015年には50億ドルに達している。この投資の大半はトルコでの不動産購入、株式市場への投資、銀行部門などに向けられている。

 クウエイト国民のトルコでの、不動産購入が活発になったのは、外国人向けの不動産取得法が、改正されたことによるものだ。トルコ政府は湾岸諸国民に対し、トルコでの不動産購入を、許可するようになったからだ。結果的に、クウエイトはトルコへの投資国としては、世界でトップ5カ国に入っている。

 これら以外には、野菜果物の輸出、武器の輸出と共同生産などがあるが、トルコからは対デモ用放水車や、兵員輸送車などが、輸出されている。

 クウエイト人のトルコへの観光訪問も、以前の2万人程度から、今では7万人に増加している。

 このトルコの報道を見ていると、どうしても150億ドルという数字には、辿り着けない気がするのだが。クウエイトの経済状況は石油価格の低迷で悪化しているし、外国銀行からの借り入れを、進めているというのが実情だ。

 トルコがいま、経済的に窮地に陥っていることは、内外の専門家の間では、周知の事実になっている。つまり、150億ドルにも上る取引というのは、事実に反しているのではないか。トルコ政府は大きな経済の朗報を、流す必要がある程、追い込まれている、ということであろう。