『エジプト入国ビザ代値上げ痛し痒し』

2017年2月27日

 

 エジプト政府は2014年以来続いてきた、空港で発行する入国ビザ代を、値上する方針を決め、それを31日から実施する、予定になっていた。しかし、土壇場になって、延期になったようだ。

 エジプトに入国するのは簡単で、空港の銀行出先窓口で、25ドルのビザ・シールを買い、パスポートにそれを貼り付けて入ると、何も問題がなければ、入国可能になっていた。

 自国や他国で長い間待たされてビザ申請をし、しかも高額のビザ代金を徴収されるのに比べると、極めて便利で簡単であった。私などエジプトを年に何度も訪問する者にとっては、この方法が一番便利で簡単であった。

 現在はどうか知れないが、以前は東京のエジプト大使館でビザを取ると、6千円以上していたが、空港では15ドル、そして2014年の値上以後は、25ドルと破格の安さであった。

 今回は25ドルの入国査証を、60ドルに値上げする、というものであった。しかし、エジプト国内の観光業者から不満が出て、新しい入国査証代は3月ではなく、7月から実施となったようだ。 

 観光業者に言わせると、1年単位で組まれているパック・ツアー代を、外国の観光業者と、再調整しなければならなくなるからだ、ということだ。エジプトなどの観光旅行パック代は、ぎりぎりまで値段が切り詰められていることから、35ドル値上するということは、極めて厳しいのだ。

 もう一つの問題は『ついでにエジプトにも言ってみよう。』式に気軽に近隣諸国を訪問した旅行客が、エジプトに入っていたのは、空港でビザが取れ、しかもそのビザ代が安かったことにあろう。

 エジプトの観光収入はアラブの春革命以来、国内治安が悪化していることから、2016年には34億ドルに減少し、443パーセントの減少となっている。観光が盛んだった2010年には、観光収入は年間110億ドルもあり、当時は年間の観光客数は1470万人にも達していたのだ。

 エジプトはピラミッド、スフィンクス、ツタンカーメンなどで知られる、世界の一大観光スポット、何とか回復して欲しいものだ。観光収入がエジプトにもたらす外貨収入は、国家収入の25パーセントまで、達していたのだ。