『リビア二つの新たな不安』

2017年2月12日

リビアはいま二つの新たな不安を、抱えることになっている。ミスラタを拠点とするミリシア軍団は、リビア国内にあって最も精強な、組織として知られてきている。シルテに陣取ったIS(ISIL)を粉砕し、シルテから追放したのは、彼らの軍団が中心だった。

 しかし、その褒賞はリビア統一政府からは、十分受けていなかったのであろうか。ここに来て、彼らミスラタ軍団はトリポリに入り、世俗派、政治組織、部族集団は相手にせず、外交機関や政府をガードすると語っている。

リビア・ナショナル・ガードは砂漠に逃げ込んだ、IS(ISIL)を打倒することに、専念すると息巻いている。そして、リビア・ナショナル・ガード(LNG=リビア国民防衛組織)なる組織を、設立すると発表した。

リビア・ナショナル・ガードは、リビア統一政府を支持するとも、しないとも言っていないとしているが、リビア統一政府はリビア・ナショナル・ガードに対して、シルテ奪還の後、何の褒賞与えておらず、リビア・ナショナル・ガードは資金的に、窮地に陥っているようだ。

 このリビア・ナショナル・ガードには、もう一人のトリポリ地区のリーダーである、カリーファ・グエイルのメンバーも加わっている。こうした状況は、今後、リビアを困難な状態に、追い込んでいくものと思われる。

 リビア統一政府のセラジ首相は、未だに大統領警備隊の設立も出来ず、外交使節や政府施設の、ガード体制も組めないでいる弱体だ。

 このリビア・ナショナル・ガードに加え、IS(ISIL)もトリポリ南東部に陣取り始め、虎視眈々とトリポリ奪取の機会を、狙っているようだ。最初に彼らがやるであろうトリポリ作戦は、電力網の切断や、水供給施設の破壊であり、トリポリ住民の間に、混乱を呼び起こすことであろう。

 しかし、こうした状況の中でも、リビア統一政府はアメリカの航空支援無しには、対応の仕様がないと弱気だ。アメリカの支援無しには、IS(ISIL)と軍事的に対峙することは出来ない、ということのようだ。確かに、シルテ攻略時も、アメリカの支援があって、初めて可能となっていた。