中東諸国の中で、一番憲法や諸規定など法律に明るい、エジプトが4月16日に投票が行われる、トルコの新憲法草案を検討し、解説している。必読の要ありということなので、その要点をご紹介することにした。
エジプトの専門家の解説によれば、新憲法は大統領権限を、拡大するものだということだ。つまり、エルドアン大統領が絶対的な権限を、有するようになる、ということなのだが、支持者たちはフランスやアメリカと、同じようになるだけだ、と擁護している。
改正される新憲法の草案18項目によれば、大統領は閣僚人事を掌握し、直接指名できるようになる。また副大統領一名ないし数名を、指名することが出来る。最近ではユルドルム首相が、実質的な権限を失っている。
現在施行されている憲法は、1980年に起こったクーデターの後、1982年に定められたものだが、それには裁判権の独立が記されている。しかし、新憲法では大統領が裁判に、直接関与することが、出来るようになる。
大統領と議会は、最高裁の4名の判事を指名できる。また、軍事法廷はかつてメンデレ大統領を、死刑に処したが、新憲法では軍事法廷は、その権限を持たなくなる。
非常事態宣言は革命が起こった場合、暴動が発生したか、国家が危機に瀕した場合のみ認められる。
大統領は非常事態宣言の発令に対し、議会の承認を得る必要がある。また非常事態の期間は、出来るだけ短いものとする。しかし、非常事態宣言の期間は6ヶ月となり、現行の期間よりも12週間延長される。その後、大統領の要請により、4ヶ月の延長が可能となる。
国会議員の数は現行の550人から600人に増加され、参政権は25歳から18歳に引き下げられる。また議員の期間は4年から、5年に延長される。
大統領職に就く者は、トルコ国籍を有し、40歳以上とする。また特定の政党に所属することが求められる。現行では大統領は、特定の政党に所属しないことになっている。
新憲法では大統領職は5年の期間で、2度まで可能であり、エルドアン大統領が大統領に就任したのは、2014年であることから、2029年まで、その職に留まれるということになる。
これではまさに、スルタンの権限をエルドアン大統領は、新憲法の発布で手に入れる、ということではないのか。それに歓迎の投票をするのか、反対の票を投じるのかは、4月16日の国民投票で明らかになろう。