シリアの北部の街アレッポを巡る、IS(ISIL)と反IS(ISIL)側(シリア軍、自由シリア軍、トルコ軍など)との戦闘が、ほぼ終了に近づいている。トルコの支援を受ける自由シリア軍(FSA)は、東側からアレッポを攻撃しており、シリア軍は西側から攻撃する、という形になっている。
つまり、アレッポのIS(ISIL)は完全に包囲されている、という事であろう。もちろん、外部との連絡や補給のルートも断たれており、IS(ISIL)側は降参の一歩手前に至っている、という事であろう。
IS(ISIL)の戦闘員のなかには、いまだに最後まで戦う、と誓う者らもいて、戦闘は終わらないだろうが、そのことは犠牲者が増えるだけであり、戦況を変えるものにはなるまい。
そうしたことから、トルコとシリアがアレッポの支配をめぐって、武力衝突する危険性が高まっている、という事であろう。トルコはアレッポをオスマン帝国の、領土と確信しており、このシリア内戦に加入したことを好機として、アレッポの支配と、トルコ領への併合を、考えているのであろう。
しかし、トルコ軍とシリア軍とが、武力衝突する可能性がある、と警告する専門家たちがいる反面、それは起こらないだろう、とみている専門家たちもいる。武力衝突が起こらないだろう、と予測している専門家たちは、アスタナで開催されたロシア、イラン、トルコの会議の、成果から推測したものだ。
シリア・トルコの軍同士が武力衝突はしないだろう、と考える専門家たちは、そうした武力衝突は、90パーセント起こりえない、とみているようだ。それは、シリア軍にはロシア軍も、参加しているという事も、大きな要素となっているようだ。
このアスタナ会議には、ヨルダンからも軍の幹部が参加したが、それはシリア南部の安全を確保するうえで、ヨルダン軍の果たすであろう役割が大きい、と考えたからのようだ。
きな臭い情報は飛び交うが、いずれもアレッポ陥落後、この街を誰が支配するか、をめぐるものであり、いわば戦後処理が始まっている、という事ではないのか。戦後処理はあるいは、長期化するかも知れないが、一つの大きな分岐点が出来たことは、確かであろう。IS(ISIL)のシリアでの存在は、時間の経過とともに、消えていくということだ。