『リビアのハフタル将軍トップの座を目指す』

2017年2月 4日

 

 リビアでは権力闘争が始まりそうだ。駐チュニジア・フランス大使が、長時間に渡って、東リビア政府のハフタル将軍と対談した。その中で、ハフタル将軍は権力の座を目指すことを明確に語り、その事では誰とも交渉する意志が無いことを、明らかにした。

 しかし、こうしたハフタル将軍の立場に、欧米はすんなりとは賛成しないだろう。なぜならば、ハフタル将軍が軍事力を持ってでも、権力の座を目指すことになれば、リビアは内戦が起こる、危険性があるからだ。

 だが、ハフタル将軍にしてみれば、東リビア政府は国際的に認められていたものが、何時の間にか、国連が別の政府を立てて、それを支持し始めているからだ。いわば明らかな裏切り行為、とハフタル将軍は受け止めているのであろう。

 そこで問題になるのは、ハフタル将軍を支援しているエジプトが、どのような立場に回るかということだ。エジプトとしては、アメリカとの関係、ロシアとの関係を考慮すると、なかなかどちらにも回り難い、立場にあるからだ。

 エジプトのシーシ大統領は最近、ロシアとの関係を強化してきているが、経済面から考えると、アメリカとの関係も無視できまい。まさに板ばさみの情況に、置かれるということだ。そこで出てくる考えは、ハフタル将軍に対して、リビア統一政府のセラジ首相と話し合え、というアドバイスであろう。

 フランスも似たような考えであり、ハフタル将軍に対して、リビア統一政府のセラジ首相は、治安面の全権を与えるべきだ、と考えているようだ。そうした中、ロシアの重要性を考え、セラジ首相は近くロシアを、訪問したいと思っている。

 他方、ハフタル将軍は昨年末ロシアを訪問し、リビア領土内へのロシア軍基地の開設を提案している。また、今年の1月には、リビアの港でロシア艦を舞台に、ロシア側との交渉を持ってもいる。

 ハフタル将軍とロシアとの関係は、すこぶる良好であり、ハフタル将軍側の負傷兵士70人が、ロシアに招かれ治療を受けている。このことはリビア人の間でも、しかるべき評価を得ていよう。

 ロシアは今回のハフタル将軍の動きに対して、どう立ち回るのであろうか。ロシアもまた、リビア国内各派で平和的に、話し合うべきだというアドバイスを、するのではないのか。ここでまた内戦状態になるようなことでは、ロシアのリビアへの進出が遅れるからだ。

 ハフタル将軍が今回強気に出た裏には、ロシアの支援もあろうが、アメリカの支援もあるいはあるのではないのか。アメリカは早くリビアの内乱状態を、落ち着かせたいと考えているし、ハフタル将軍については、20年以上も亡命させ、支援してきていたのだ。革命でリビアに送り返したのだが、その駒(ハフタル将軍)をアメリカが、容易に手放すとは思えない。