『勝負ありかバグダーデイとIS』

2017年2月14日

イラク空軍による猛爆撃で、IS(ISIL)の幹部13人が死亡した、という報道がなされている。その死亡者のなかにバグダーデイが含まれていたかは、いまだ不明だが、少なくとも重傷を負っているだろう、という情報が流れている。

 今回IS(ISIL)がイラク空軍によって、空爆されたのはシリア国境に近い、カーイムという街の一軒家でのことだった。そこで、IS(ISIL)の幹部たちによる、モースルの状況や今後に向けた、バグダーデイの後継者問題などについて、討議する幹部会議が、開かれていたということだ。バグダーデイもこの会議に参加すべく、ラッカから駆けつけていた、と言われている。

 カーイムでの戦闘は激しいものであり、イラク地上軍とIS(ISIL)との間でも、日曜日から月曜日にかけて、6時間にも及ぶ銃撃戦が起こった。IS(ISIL)側は外部の友軍に対して、支援を求めたようだが、何処からも支援の戦闘員は、集まってこなかったということだ。

 IS(ISIL)側の17台の車両が破壊され、50人の戦闘員がこの戦いで犠牲になった。そのなかには司令官のアブ―・アヌワルも含まれていた。また戦闘の後には、大量の軽,重武器が放置され、戦車も放置されていた、ということだ。

 IS(ISIL)側としてはモースルを放棄し、シリアへの移動を本格的に、進めようとしていたのであろう。しかし、イラクからシリアに抜ける幹線道路は、イラク側によって、ほぼ制圧されているようだ。

 バグダーデイの死亡か負傷かについて、イラク軍が明かしていないのには、種々の理由が考えられる。単純な理由は、そのことが分からないため、ということになるが、他の幹部の死亡は確認し、名前も明らかにしていることから、バグダーデイについてのみ、情報が無いはずはない。

 バグダーデイが死亡したか、重傷を負った、ということになると、イラク軍や合同軍のなかに、心のゆるみが発生するかも知れない。当分は世界の関心を集めることも目的として、バグダーデイの死傷については、明かさないほうがいい、ということかもしれない。

いずれにしろ、イラクではIS(ISIL)の戦闘能力は、ほとんど尽き果て、戦闘員は逃げ腰になっていることは、明らかなようだ。その分、多数のIS(ISIL)の戦闘員の、シリアへの移動も予測されることから、シリアの今後は危険度を、増すかもしれない。