『イスラエル・パレスチナは2国家か1国家か』

2017年2月18日

 

 大分前からあった話なのだが、ここに来て再度話題に上り始めている。それはイスラエルとパレスチナの問題を、どう解決するかということだ。

一つの考えは、国連などが中心になって、進めようとしている、イスラエル、パレスチナの二つの国家を、設立する解決法であり、イスラエルはそれを望んではいないが、パレスチナ側はそれを強く希望してきている。

もう一つの考えは、イスラエルとパレスチナを一つの国家にしてしまおう、という考えだ。そうすれば、エルサレムの帰属問題も消えてなくなり、イスラエルにとっては敵性国家が、誕生しないということだ。

そもそも、いまの段階でこの二つの案が、再度話題になったのは、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米し、トランプ大統領と話し合った結果、出てきたものだ。トランプ大統領は『2国家樹立だけが選択肢ではない。』と語ったのだ。つまり、イスラエルとパレスチナが、一つの国にまとまってもいいだろう、という考えなのだ。

 喜んだのはネタニヤフ首相だった。彼はパレスチナ国家が、イスラエルに隣接して誕生すれば、その国家はイスラエルの敵国となり、事態は悪化すると考えているからだ。

 しかし、2国家にしない場合、イスラエル国民となったパレスチナ人は、やがてイスラエル国民(ユダヤ人)よりも多くなり、パレスチナ人がその国家の政治的、イニシヤアチブを握るようになり、イスラエルはパレスチナ人の支配する国家、になりかねないのだ。

 このパレスチナ人人口の増加は、大分前からイスラエルの頭痛の種であり、最近ではそれが、より明らかになってきているのだ。そうしたなかで、イスラエル国籍を持ち、イスラエルの議会クネセトの議員になっている、テイビ氏(パレスチナ人)は、イスラエルとパレスチナが1国家になった時には、自分が首相になる、と言い始めている。そのテイビ氏の発言は、極めて現実的なものなのだ。

 イスラエルとパレスチナの問題を解決するには、いずれかの形でパレスチナ人を、満足させなければならないのだが、1国家にしても2国家にしても、それはイスラエル側にとって、極めて危険なものなのだ。

 そこで出てきたのが、エジプトのシナイ半島北部を、エジプトがパレスチナに与えることにより、そこにパレスチナ国家を創る、という考えだ。もちろん、これはエジプト政府が全面的に反対している。このことを言い出したのは、ムスリム同胞団出身のモルシー氏だが、彼が大統領の時代に言い出したことなのだ。

 この話の根拠と思われるのは、ガザがかつてエジプトの支配下にあった、ということから来ているのだ。イスラエル側にしてみれば、以前のようにガザはエジプトが責任を持ち、ヨルダン川西岸地区はヨルダンが支配するのが、いいということであろう。そして、その場合は、これら両国がイスラエルに対して、安全の保証をするということなのだ。

しかし、エジプトもヨルダンも、そんなお荷物は背負いたくあるまい。結局のところ、パレスチナ問題は、多くが語られ、何も生み出さないで時間が過ぎていく、ということであろう。