イスラエルのネタニヤフ首相が、アメリカを訪問した。そのなかでは、2国間関係が話し合われ、イスラエルはアメリカからのより一層の、支援を期待したことであろう。同時に、現在混沌としている入植地問題と、その先にあるイスラエル・パレスチナ問題の解決についても、話し合われた模様だ。
このネタニヤフ首相の訪米を機に、パレスチナ自治政府側も動きだし、公平なイスラエル・パレスチナ問題の、解決を訴えている。パレスチナ自治政府のエレカト氏は、100年前にイギリスのバルフォア卿が進めた、パレスチナの地の分割と、その後のイスラエル国家の建国について、不当なものであるとした。
そのうえで、その後に国連が採決した2国家、つまりイスラエルとパレスチナ国家の共存に、修正する責任がイギリスにはある、と言い出している。そして、その両国の国境は、1967年に決められたラインに、すべきだと訴えた。
このエレカト氏の主張に対して、ネタニヤフ首相は無視し、現状を進めるつもりだ。つまり、問題解決を無視して入植を進め、既成事実としての、イスラエル人によるパレスチナの土地の収用を、進めるということだ。
アメリカのトランプ氏大統領の考えはどうであろうか。彼は一見、イスラエルにもパレスチナにも組しない、という感じではあるが『2国家の樹立だけが問題解決の道ではない。』と語っている。(トランプ政権の考えでは、パレスチナ国家ができれば、その後、新たな武力闘争が展開される、ということを懸念しているのだ。)
つまり、民主的なイスラエルにパレスチナを併合させ、双方を『1国家2制度』にするという考えのようだ。これは中国と香港のような関係であろうか、あるいは全く異なる、関係になるのであろうか。この考えすらイスラエル側には、受け入れられまい。それは、パレスチナ側の人口増加が、イスラエルにとって、将来の脅威となるからだ。
1国家2制度になれば、イスラエルが優位に立つことは目に見えている。パレスチナ側はイスラエルの資金を当てにするようになろう。また、1国家2制度のもとでは、パレスチナ側に送られる援助金も、減ることになるのではないか。それはい、まだに多くのムスリム諸国が、イスラエルを毛嫌いしているからだ。
結局のところ、ネタニヤフ首相の訪米で、2国家の話が出ては来たが、イスラエル・パレスチナ問題には、何の改善も進展も生まれなかった、ということではないか。そして、イスラエルは安心して、今後も非合法な入植を進め、時間が経ったところで、それを合法と認めるという手法を、採るのであろう。
ネタニヤフ首相はアメリカで、うまいことを言っている。イランはイスラエルにとって脅威であり、核開発を進め、長距離ミサイルを開発し、イスラエルを攻撃する危険性がある。パレスチナはそのイランと良好な関係にあり、なかでもガザのハマースのイランとの関係は強い。よってイスラエルはパレスチナに、一歩も譲るわけにはいかない、と言っているのだ。そのことにトランプ大統領も同感であろう。