世界各国の経済状況を、調査している著名な企業に、フィッチ社とS&P社があるが、これらの企業は、各国の経済状況を調べ、世界中の企業や国家に対して、どの国に進出すべきか、投資すべきか、あるいは否かの、判断材料を提供している。
そのフィッチ社とS&P社が、トルコの経済状況に対する、厳しい評価を下した。両社の報告によれば、トルコの経済状況は、安定からネガテイブに、下がっている。つまり投資には向かない、ということであろう。
S&P社は近く、トルコをジャンクのレベルに、下げるようだ。トルコ政府の賢明な政策に、期待していたが、駄目であり、通貨は下落しまくっている。またインフレも昂進しており、財政状況を悪化させている。従って、企業も銀行も、予断を許さない状態にある、ということのようだ。
このフィッチ社とS&P社のトルコ経済への評価について以前にトルコ政府は『悪意のあるデタラメな報告』と避難したことが有り、まさに耳を貸さないということであろう。しかし、両社の評価に耳を貸さないのは、トルコ政府だけであり、世界の国々や企業は、トルコに対して、そっぽを向くことになろう。
トルコ・リラも金曜日には下げ、現在1ドルに対して、3・87リラになっている。こうした状況に対して、トルコのユルドルム首相は『全てはギュレン・グループによる、経済の悪化の責任は彼らにある。』と息巻いており、ギュレン・グループを撲滅するまでは、非常事態宣言を解除しない、と言っている。
実際には、ギュレン・グループがエルドアン政権誕生の後、トルコ経済の牽引車に、なって来ていたのだが、ギュレン・グループに対する、企業オーナーたちの逮捕投獄、企業の国家支配、企業の財産没収などがあり、トルコの経済は悪化しているのだ。
愚かなトルコ政府の外交と指導で、トルコ企業は惨憺たる状況にある。かつてはいい貿易相手だった、イラクもエジプトも、シリアも今では敵対関係にあるのだから、貿易が停滞しているのは、当たり前であろう。
ロシアからの多数の観光客に依存する、トルコの観光業界は瀕死の重傷にあり、今年の夏場の海岸リゾート・ホテルの予約は、未だに半分しか入っておらず、前年比で11パーセント以上も、下がっているということだ。
体制の維持のために、全ての責任をギュレン・グループに押し付け、独自に改善しようとしない、政府の指導の国の将来に、希望は持てまい。しかも、昨年7月15日に起こった、クーデター未遂事件後、ギュレン・グループが首謀者だとして、多くの高級官僚、学者、ジャーナリスト、評論家が逮捕され、投獄されている。
これでは、トルコは経済改革もくそもあるまい。愚かで狂気に満ちた者に引きずられ、トルコはがけっぷちに連れて行かれている、ということであろう。