イギリスのメイ首相がアメリカを訪問し、トランプ大統領と会談後、次の訪問地にトルコを選んだ。それが何を意味しているのか、気にかかるところだ。それほどトルコは国際政治の中で、重要なのだろうか、という疑問が沸くのだが、それは私だけであろうか。
メイ首相はトルコを訪問し、エルドアン大統領と3時間に渡る、会談を行ったようだ。そこでは防衛、貿易、テロ対策、教育、防衛産業協力、電力問題などに加え、中東地域情勢に関する意見交換と、治安協力、テロ対策協力も話し合われた。*
こうした中で目立ったのは、イギリスとトルコtとが防衛産業面で、協力を促進させるという話だった。トルコはイギリスと戦闘機TF-Xの、技術革新に関する協力について、メイ首相の訪問を機に話し合った。
貿易面では、トルコのイギリスとの貿易額は、現在156億ドルだが、それを200億ドルまで、引き上げる方向だ。また、NATO加盟国同士ということからも、討議が行われたようだ。
シリア問題への対応は、イギリス側にとっても、トルコ側にとっても、関心度の最も高い問題だった。加えて、ギリシャとトルコの関係と、両国間に横たわる問題の、解決についても、意見交換が行われた。
これらの問題について、イギリスのメイ首相と、トルコのエルドアン大統領が、意見交換をしたことは、事実であろう。しかし、それらの問題の裏で、イギリスとトルコは、ロシア対応やEU諸国対応についても、話しあったのではないのか。
アメリカのトランプ大統領は、ロシアとの関係促進に、エルドアン大統領に、一役与えたのではないのか、と推測するのだが、ことの真相はどうであろうか。
イギリスにしてみれば、EUがNATOで今後もイギリスを、縛り付けることは我慢が出来まい。アメリカのトランプ大統領も、NATOとの協力については、大分不満があるようだ。
そして、トルコもNATOとの関係で、亀裂が生まれつつある。いっそのこと、アメリカもイギリスもトルコも、この際、NATOとの関係を一度整理したい、と考えているとしても、不思議はあるまい。
また、ロシアのEUへの接近と、EUのロシアへの接近を、阻止しなければならない、とイギリスもアメリカも、トルコも考えていよう。
ギリシャとトルコとの間に横たわる、表面的な問題はクーデター未遂事件参加者の、ギリシャからのトルコへの引渡が、進んでいないことから来る、トルコ側の不満だが、それ以上にシリアを始めとした、難民の問題が重要であろう。
トルコはこの難民問題をギリシャを梃子に使って、再度EUに揺さぶりを、かけるかもしれない。そうなれば、EU諸国は押しなべて国内的混乱に陥り、右翼民族派が政治の舞台では、大躍進することになろう。嵐の時代ということか。