『シリアの国内外環境が激変し始めている』

2017年1月27日

 

 カザフスタンのアスタナで開催された、シリア和平への国際会議は、各国ともにトップ・レベルの参加は無かったが、どうもしかるべき成果が、上がりつつあるのではないか、と思われる。

 まず、第一に言えることは、この会議の後、反政府派6派が、FSA(トルコの支援する反シリア・ミリシア組織)や、シリア政府と一体になって、IS(ISIL)やアルカーイダを攻撃する、と言い出していることだ。

 つまり、ミリシア各組織は近い将来、シリアに起こる政治的激変を予測し、勝ち馬に乗ろう、ということであろう。このことと時を同じくして、アメリカのトランプ大統領が、シリアにセーフ・ゾーンを創る、と言い出していることだ。

 このセーフ・ゾーンの建設案は、長い間トルコの主張してきたことであり、反政府側ミリシア各派は、すでにそこからの攻撃を、許可しろと言い出している。

 第二の変化は、イギリスのジョンソン外相が『アサド大統領もシリアの大統領選挙に参加すべきだ。』と言い出していることだ。つまり、アサド体制は今後も続く、ということであろう。

 イギリスはアサド体制を支援している、イランに接近を始めているが、そのことも関係しているのであろう。アメリカは相変わらず、イランに対する制裁延長を、口にしてはいるが、本音はそうではあるまい。EU諸国は押しなべて、イランへの接近を始めている。

こうした国際的雰囲気の中で、イギリスは遅れまいとして、イラン接近を急いでいるのであろう。その流れから、イギリスはアサド体制支持に、回っているのではないかと思われる。

こうした変化は、一言で言えば、ロシアの中東地域への、台頭が著しいことと、アメリカのトランプ大統領が中東から、手を引く方向にあることから、来ているのであろう。

どうやら、シリア内戦は6年を過ぎて、政府反政府双方に疲れが出ていること、資金的にも苦しくなってきたことなどから、双方が内戦終了に向かい始めた、という事であろう。それをアメリカもロシアも、支持する立場に変わってきている。