トルコで新憲法が議会を通過した。議員数550人のうち339人がこの新憲法に、賛成票を投じたことにより、正式に認められたということだ。賛成票を投じたのは与党AKPと野党MHPの議員たちだ。
反対票は142票に留まった。この結果大統領職は、2度まで携わることが出来るようになり、エルドアン大統領の任期は、2029年までとなるということだ。
憲法改正については、議員の330人の賛成が必要であり、この数に達した場合は、国民投票で正式に、承認されるということになっている。今回は339人が賛成したわけであり、国民投票にかけることに、何の問題も無いということだ。
この新憲法が通過したということは、大統領の権限に対し、いずれの機関も個人も、異議を申し立てることは、出来なくなるわけであり、実質は独裁体制になる、ということだ。
大統領職は5年の期間を、2度まで認められており、エルドアン大統領は現在の期限が、残り2年であることから、2029年まで大統領職に、留まれるということだ。この大統領職に就いている間、大統領は公務員、大臣などの、任免権を独占することが出来る。
この新システムについて、トルコの法律家協会議長のメチン・フェイゾール氏は『別に珍しいことではない。トルコはスルタン国家だったのだ。そのシステムに戻るだけだ。』と語っている。その事はトルコがエルドアン大統領を、実質的にスルタンとして、認めるということであり、新憲法はスルタンの法、ということになるのだ。
新憲法では、国会議員数が550人から600人に増加され、議員立候補は現在の25歳以上から、18歳以上に変更される。そして、大統領選挙と議員選挙は、5年毎に実施されることになる。
今回の新憲法の議会通過を受け、反対に回った野党第一党のCHPや、クルドの政党であるHDPは、猛烈に反発しており、国民投票の日に向けて、個人宅を個別に訪問し、新憲法の危険性を、説明する方針だ。
しかし、その場合、エルドアン大統領側は、個人宅を訪問するCHPやHDPのメンバーに対して、嫌がらせをすることは、十分に予想される。しかも、身体的危害を加えることも、ありえよう。そのことはトルコにはこれから、一波乱ありそうだということになる。