『改善に動き出したリビア国内情勢』

2017年1月13日

 

 統一リビア政府のセラジ首相がカイロを訪問し、シーシ大統領と会談した。このことは、リビア情勢の大きな進展、とみていいだろう。エジプトはこれまで、東リビア政府(トブルクの本拠地を持つ)を、アラブ首長国連邦と支援してきていたからだ。

 シーシ大統領がセラジ首相と会談したという事は、エジプトが彼を認めたということだが、何故そうなったのであろうか。リビアでは東西のリビア政府が、対立してきていたが、ここに来て、統一リビア政府でまとまる方向に、動き出しているのだ。

 それは、統一リビア政府側が東リビア政府に対して、3つの閣僚ポストを渡すことによって、妥協が生まれたという事であろう。また、東リビア政府の実力者であるハフタル将軍については、統一リビア政府の参謀総長に、任命することとなった。

 東リビア政府のトップであるカリーファ・グウエル首相は、『リビアを分裂させたくはない統一したい。」と語っている。また、セラジ首相については『我々は彼セラジ首相に、1年の猶予を与える。お手並み拝見だ。もしだめなら、その後は我々が統治する。』と語った。

 トリポリの統一リビア政府が、東リビア政府に妥協した大きな要因は、ハフタル将軍が石油地帯を、支配しているということに、起因しているのではないか。リビアは石油収入が、スムーズに入っていないために、いま資金難に苦しんでいるのだ。

 ハフタル将軍は油田地帯を、部族グループと協力して支配し、積み出し港もIS(ISIL)の追放に成功しており、あとは東西のリビア政府に妥協が生まれれば、何の問題もなく輸出できる、状態になっていたのだ。