『トルコの状況は満身創痍』

2017年1月11日

 

 エルドアン大統領がどれだけ、強気な発言をしても、トルコの状況は日に日に、悪化するばかりだ。エルドアン大統領は大統領制が制定されれば、すべての問題は解決される、ということを口走るが、それは同国を暗黒時代に、導くだけであろう。

 誰もが懸念する大統領制は、トルコの場合は一党独裁にすることであり、大統領を独裁者にするだけのことだ。面倒な野党対策をやることなく、大統領個人の意見で、国を動かしたい、ということに尽きる。

 そして、それはエルドアン大統領の、すべての悪(汚職や弾圧など)を隔してくれる、魔法のマントなのだ。これでよくトルコ国民は、爆発しないものだ、と思うのだが、その最終爆発へのタイム・ボム(時限爆弾)は、すでに秒を刻み始めているのだ。

 エルドアン大統領が強硬に進めた、外貨売りリラ買いは、トルコの抱える金融問題には、何のプラスの影響も、与えなかった。当分の間、そのマイナスの影響は報道禁止に、なっていたのであろうが、ここに来て、毎日のようにトルコ・リラの暴落が、報じられるようになった。マスコミはトルコ・リラの暴落を、放置できなくなった、という事であろう。

 トルコ・リラは昨日、ついに1ドルに対して40081という値をつけた。述べるまでもなく、これは史上最安のレートなのだ。これまでエルドアン大統領に騙されて、手持ちの外貨をトルコ・リラに替えた人たちは、誰もが大損をした、と思っていることであろう。

 そのような展開になることは、トルコ国民は分かっていたのであろうが、もし、エルドアン大統領の意向に沿わず、外貨を手放さなかった場合には、その外貨を没収され、その上なお処罰されることを恐れ、みな外貨売りに走ったのであろう。

 悪いことが重なる時には重なるもので、シリアではトルコ軍が苦戦を強いられている。トルコに通じるシリアの、アルバーブでの戦線では、トルコ兵が死傷するケースが増えているのだ。公表される戦死者数は、多分それを10倍ぐらいにした数が、正しいのではないのか。

 この冬は、トルコのイスタンブールが、大雪に見舞われ、ボスポラス海峡も通過不能になったほどだ。従って、イスタンブール空港からの発着便は運航停止、ビジネスマンたちは外国に出張したくても、動けない状態に陥っている。

 私の友人のビジネスマンも、当初『110日には東京で会いましょう、予定を空けておいてください。』と連絡してきたのだが、その後の連絡では『何時飛行機が飛ぶかわからない、イスタンブールでは出勤も買い物も出来ない。雪害に見舞われている。と連絡が来た。確かにネット情報を見ていると、豪雪被害のニュースが毎日のように、掲載されている。

 この大雪はトルコの農産品に、大ダメージを与えてもいる、そのため、野菜や果物はうなぎ登りに、値を釣り上げているのだ。トルコ・リラの下落による、輸入製品の高騰に合わせ、国内製品も値上がりしているのだから、トルコ国民にはたまるまい。豪雪に打倒された独裁者ということになれば、もう笑うしかあるまい。