『リビア強気のハフタル将軍』

2017年1月 4日

 

 

 リビアの国内勢力が、今後関係をどうして行くのか、気になるところだ。リビア西のトリポリを拠点とする、統一リビア政府を代表するセラジ首相と、東のトブルクを拠点とするリビア政府を代表する、ハフタル将軍との話し合いが、今後スムーズに進んでいくのか、あるいはダメになるのかについて、世界が注目していよう。

昨年末、ハフタル将軍はロシアを訪問し、幾つかの重要な点について、プーチン大統領と話し合った。それらは、リビアへの武器輸出についてであった。この問題は国連がリビアへの、武器禁輸を決定しているが、ロシアはイスラミストのリビア進出を抑えることと、石油の安全な輸出を守るためには、リビアには武器が必要だとし、国連決議を無視するかも知れない。

もう一つは、ハフタル将軍がロシアに対して、リビア国内にロシアが軍事基地を設立することを、歓迎する発言をしたことだ。このことは、ロシアにとっても、ハフタル将軍の側にとっても、きわめて重要なポイントであろう。

もし、ロシアがリビア国内に、軍事基地を持つことになれば、地中海周辺諸国や、中東諸国、北アフリカでのロシアの軍事的な立場は、強化されることになる。他方、ハフタル将軍にしてみれば、ロシアとの軍事基地協定が成立すれば、実質的に、東リビア政府が国際社会のなかにあって、リビア全体を代表する、より強固なものとなろう。

元々、東リビア政府は国際的に、認知されたものであったが、その後、チュニジアでセラジ氏を首相に担ぎ上げ、西リビア政府を樹立し、それを、リビアを統一する政府だ、と国連が言い出したのだ。

ハフタル将軍にしてみれば、こんなことは笑い話でしかあるまい。今回ハフタル将軍がリビアに対し、軍事基地の開設を認めたことは、20年の長きにわたって、ハフタル将軍を匿ってきた、CIAに対する強烈なしっぺ返し、かも知れない。

ロシアは最近では、中東地域への影響力で、アメリカをはるかに凌ぐように、なっているし、アラブ諸国の親米派も、ロシアとの関係改善を、模索するようになって来ている。そうしたなかでの、ハフタル将軍の決断は、周辺諸国への影響が大きいだけに、見逃せまい。

状況は自分に有利だ、とハフタル将軍は判断したのであろうか。西側のセラジ首相が呼び掛けた合同会議に、参加する気は無い、と撥ね付けている。彼が言うには『今はイスラミストと戦っている最中であり、民主主義などを話し合っている、時期ではない。そんなことは後から話し合う問題だ。私はセラジとは、2年半前から話し合ってきたが、何の成果も生まれていない、時間の無駄だった。』と語っている。

ハフタル将軍はリビア領土の、80パーセントを支配下に置いた、と語っているが、そうであるとすれば、リビア国内の多くの部族ミリシアと、連携ができているという事であろう。