『リビア機ハイジャック・マルタへ』

2016年12月24日

1223日の金曜日に、リビアのエアバスA320の、エアー・アフリカ機がハイジャックされた。ハイジャック犯は20代の青年2人で、リビア空港の説得を拒否し、ハイジャック機をマルタに向かわせた。

この2人のハイジャック犯は、カダフィ支持者たちであり、飛行機から降りる際に、カダフィ大佐が国旗と指定した、グリーン一色の旗を掲げていた。彼らは何らかの要求を、していたようだが、その内容は明らかになっていない。

ハイジャック犯は要求が受け入れられれば、無抵抗で投降する、と言っていたところから見ると、あるいは何らかの妥協が、リビア政府との間か、マルタ政府との間で、生じたのかもしれない、仲介にはイギリスの専門家が、加わったようだ。

ハイジャック犯の要求は、マルタ政府が政治亡命者として、彼らを受け入れてくれることだったのかもしれない。いずれにせよ、ハイジャック事件は結果的に、いとも簡単に投降が決まり、乗客やクルーなど118 人は、無事飛行機から降りて、保護されている。

ハイジャック犯たちが飛行機に搭乗したのは、リビア南西部のセブハからであり、彼らはテブ部族の出身だということだ。1人のハイジャック犯の名前が分かっているが、彼の名はムーサ・シャハのようだ。

ハイジャック犯は彼が所属しているのは、ファタハ・ジャデード(新9月)という政治組織であり、ムーサ・シャハは自分が組織の代表だ、と名乗っているようだ。今回のハイジャックは、ファタハ・ジャデード組織の宣伝が、目的だったのかもしれない。

こうした派手な事件を起こせば、リビア国民の間でくすぶっている、カダフィ待望感情に、火が点く可能性があろう。2011年にカダフィ大佐を殺害して、革命が成功したのはいいが、その後、今日に至ってなお、リビアは内乱状態にあるのだ。

カダフィ大佐存命時代には、リビアはアフリカで最も豊かな国だ、と言われていたが、今では国民がパンを得ることすら、難しくなっているのだ。今回のハイジャック事件を機に、軟禁状態にあるカダフィ大佐の次男、サイフルイスラ-ムに対する処遇に、何らかの変化が起こるのか、リビア人が動き出すのか、興味深いところだ。

この組織の名前ファタハ・ジャデードは、カダフィ大佐が19699月に革命を起こし、成功して以来、ファタハを9月と結び付けており、ファタハとは勝利も意味するアラビア語だ。この事件の後を、注視する必要があろう。