『リビアがシドラから原油積み出し再開』

2016年12月21日

 

 アラブの春の嵐のなかで、リビアでもカダフィ体制が、打倒されたのは、2011年のことだった。以来、リビアはトップが存在しない中で、各部族、地域、宗派などの対立が、続いてきていた。

 それがやっと、鎮静化の傾向を見せたのは、つい12か月前からであろう。リビアでは各部族、宗派、地域のミリシア・グループが、戦闘を展開する中で、リビアの石油積み出し港の近くの、シルテに陣取ったIS(ISIL)が、リビア支配を狙って、頑張ってもいた。

 リビアのシルテ戦争が決着を見始めたのは、つい最近、アメリカによるシルテ戦争への介入が、明確になってからであろう。アメリカのアフリカ軍総司令部の、発表によれば、アメリカ軍はこれまでに、495回のシルテのIS(ISIL)攻撃を、繰り返してきた、という事だ。

 もちろん、アメリカ軍の攻撃は、ドローンを始めとした、航空兵器によるものであり、地上部隊を投入した、わけではなかった。

 結果として、リビアはシルテが解放され、その東にあるシドラの石油積み出し港から、最初の石油輸出を、再開している。積載量は60万トンだったと報告されている。その送り先は、リビアの旧宗主国である、イタリアだった。

 リビアでの戦闘には、イタリア、イギリス、フランスが、だいぶ前から介入していたことは、よく知られている。もちろん、アメリカもその一員であったのだ。問題はこの石油輸出が、今後も継続的に行われるのか、あるいは、リビアの外部の敵を追い払った後で、リビアは再度内戦に入るのか、ということだ。

 石油の輸出再開という事は、その代金をどう分配するのか、という事で再度もめる可能性があろう。エジプトやアラブ首長連邦は、トブルクに拠点を置く、東リビア政府を後押ししているが、国連その他は、トリポリの西リビア政府(統一リビア政府)を支援しているのだ。