トルコでは政府の努力の甲斐もなく、失業率が上がっているようだ。なかでも、15歳から24歳の若者層の、失業率は高くなっている。さる9月に比べ、若者層の失業率は1・4パーセント増加し、19・9パーセントに達している。つまり、5人に1人が、失業状態にあるということだ。
9月の段階で見ると、失業している若者の人口は、352万人に達しており、昨年に比べ42万人増えている、ということになる。全体では失業率は11・3パーセントで、農業部門を除く失業率は、13・7パーセントに達しており、それは1・3パーセント増えている、ということだ。
就業率は46・8パーセントで、以前とあまり変化はないようだ。この内訳は、農業部門就業者が20・5パーセント、産業部門への就業者が19・1パーセント、7・7パーセントが建設部門で働いている。そして、一番多いのはサービス業従事者で、52・7パーセントに達している、という事のようだ。
この結果はトルコ統計局の発表したものであり、政府の意向がある程度は、影響しているかもしれないが、おおよそ正確なものとみなして、いいのではないかと思われる。
問題は若者が仕事に就けずにいると、社会のなかにフラストレーションが溜まり、暴発する危険があるということだ。それは社会不安のもとであり、体制不安にもつながりかねない。もちろん、それ以前の段階では、若者による暴力犯罪が、増えていくことになろう。
トルコの大都会イスタンブールの、公共バス内で、若い女性の服装に腹を立てて、女性を蹴った男性が、逮捕されたことがあるが、彼は間もなく釈放された。しかし、世論はそれを許さず、警察は再度この犯人を、逮捕するという事が起こっている。
市中では誰かが『あいつはギュレン派(エルドアン大統領が敵視している団体)だ!』と叫ぶと若者が寄ってたかって、その人物に対し、暴力を振るうという事が、起きているとも聞いている。これらは、社会のなかでフラストレーションが、相当高まっていることを、表しているのであろう。
日本の女性は外国と日本国内の区別がつかず、軽装で歩き回り、現地で強姦されたり、暴力を振るわれることがよくあるが、先進国入り間近と言われているとは言え、トルコはイスラム教徒の国であることを考えると、しかるべき配慮が必要であろう、と思われる。
一国の失業問題は、そう簡単には解消されない。当分の間、トルコ社会には失業問題などから、フラストレーションが溜まり、日に日に増大していくことであろう。そうだとすれば、軽はずみな行動は、とらないようにすべきだ、ということになろう。