『運が尽きたかエルドアン大統領』

2016年12月13日

 

 エルドアン大統領にとっては、このところ嬉しくないニュースが、続いている。先日のイスタンブールで起こったテロは、その典型であろうか。そればかりか、ヨーロッパ諸国はトルコの、シリアやイラクへの野望を、だんだん激しく非難するように、なって来ている。

 トルコ軍はその中で、クルド人の台頭を抑えるべく、ユーフラテスの盾作戦を

実施してきていたが、トルコ兵の死傷が増えているようだ。トルコがクルド人の動きにこだわるのは、述べるまでもなく、シリアやイラク、トルコのクルド人が、連帯してクルド国家を創ることが、不安だからだ。

 シリアのアルバーブで展開していた、トルコ軍のなかから4人の負傷者が出た、というニュースが伝わり、負傷兵はガズイ・アンテペの病院に、担ぎ込まれた。トルコに言わせると、この作戦はIS(ISIL)の掃討と、クルドの掃討が目的だ、というのだが、ほとんどはクルドを対象に、しているのであろう。

 今度の場合だけではなく、トルコ兵から死者も出ているが、戦争時間が延びれば延びるほど、トルコ兵のなかに、死傷者の数は増えていこう。

 エルドアン大統領にとって、もう一つの不都合なニュースは、刑務所に収監されている、野党DHPの党首デミルタシュ氏が、刑務所内で心臓病に、かかっていることだ。しかるべき治療をするか、薬を投与しなければ、死ぬこともあり得よう。もし、そんなことになれば、クルド人だけではなく、トルコ人が大デモを起こすことに、つながろう。

 そして最後は、トルコの経済状況だが、2009年以来初めて、トルコはGDPが下がっているのだ。これまで、右肩上がりを続けてきたトルコの経済が、右肩下がりになるという事は、エルドアン大統領への支持が、下がることを意味していよう。エルドアン大統領を支持してきた国民の、半数は経済状態が改善していたからに、他ならないのだ。

 トルコ経済が目に見えて、悪化しているのは、貿易が不振に陥っていることによる。それは周辺諸国との関係が、劣悪になったこと(シリア、イラク、エジプトなど)によろうし、ロシアとの関係も悪化のままだ。表面的には関係改善している、と言っているが、ロシアからの観光客は激減し、農産品の輸出も伸びていないのだ。

 こうしたことから、トルコの銀行の数値では、財政赤字は昨年の324億ドルから、今年は337億ドルに増える見通しだ。観光収入は327パーセントも落ち込んでいる。今年の観光部門の現在値は、173億ドルだが、それは昨年に比べ、76億ドルの減少となっている。

 悪いことが起こる時は、悪いことが重なるのであろうか。外貨売りのトルコ・リラ買いも、少し時間が経てば、全く逆の効果を生み出すことに、トルコ国民は気が付こう。その時、エルドアン大統領は国民の財布から吐き出させた、外貨を持って国外に逃亡するのであろうか。