12月10日深夜、イスタンブールのベシクタシュ・サッカー場そばで、2件の特攻爆弾テロが起こった。
ここはスイス・ホテルや日本の総理大臣が宿泊した、ケンピンスキー・ホテル(チュランパラス・ホテル)の近く、しかも、ドルマパチェ宮殿のそばであり、海岸には人気の喫茶店もある場所だ。近くには人気のショッピング街に続いて、タクシム広場もあるのだ。
爆弾テロは警察のバスを、狙ったものであろう、と思われているが、その直ぐそばでも爆発が起こり、被害は相当なものになっている、現時点では、死者が15人、そのほとんどは警察官であり、彼ら以外に市民も犠牲に、なっているものと思われる。加えて、負傷者の数は現在確認できているだけで、69人ということだが、確認が進むにつれて、もっと増えるのではないか、と思われる。
ベシクタシュはトルコで最も人気のあるサッカーチームであり、この夜もサッカーの試合があったようだ。爆発時間がもっと早ければ、もっと多くの犠牲者が、出ていたものと思われる。そう考えると、主な攻撃対象は、警察官であった、ということではないか。
エルドアン大統領やユルドルム首相が、爆弾テロの後にコメントしているが、詳細については語っていない。多分彼らには詳細な報告が、届いていなかったものと思われる。
トルコでは今年、大型のテロが何度か起こっている。最も大きかったテロは、6月に起こった、空港テロ事件であろう。このテロ事件では、41人が犠牲になっている。
トルコでテロが増えているのには、幾つかの理由があろう。ひとつはトルコをターゲットとして、PKK(クルド労働党)がテロ攻撃を、増加していることだ。それは、トルコ軍による、徹底したPKKに対する、攻撃への報復であろう。
もうひとつは、IS(ISIL)がトルコとの協力関係を破棄され、トルコ軍によって攻撃されるように、なったことによろう。トルコは以前、IS(ISIL)に対して戦闘員の自国領通過を認め、武器や資金を送り届け、負傷者のための病院も、設置していたのだが、アメリカの強い要請もあり、IS(ISIL)の敵に回ったからだ。
加えて、エルドアン大統領が進めるギュレン派狩りの、影響があるものと思われる。ギュレン派だとして解雇されたり、配置換えをされたり、投獄された警官や検察が、多数いるのだ。
彼らのなかには、優秀な人材が多かったのだが、それが機能しなくなったいま、テロ対策は極めて手薄な状態に、なっているものと思われる。エルドアン大統領は自身の保身のために、国民を犠牲にする道を、選んだ結果であろう。