トルコでは政府が国民に呼びかけて、手持ちの外貨をトルコ・リラに交換するよう、薦めている。しかし、毎日のように値下がりしている、トルコ・リラに国民は信を置いていないなかで、国民はどの程度政府の方針に、賛同するのであろうか。
トルコ・リラは当初、ハイパー・インフレからデノミで、ゼロが幾つも消えた。インフレ時は1650000リラだったものが、突然1・65リラに変えられたのだ。そして旧紙幣は紙くずに変わったのだ。
その後、次第にトルコ・リラは値下がりし、つい最近までは1ドルに対して、1・97リラ程度だったものが、今では3・3から3.5リラにまで、下がっているのだ。つまり、当初の価値に比べ、半分の価値しかなくなっているのだ。給料も上がったのだから、文句はあるまいというところだが、それにしても、酷い下落であろう。
トルコ政府は外国投資家が、トルコの市場から資金を、引き上げていること。トルコの貿易が赤字を続けていること。シリア・イラクでの戦争による、膨大な戦費の出費。国内のテロの頻発による、観光客の激減。などで相当厳しい財政状態になった。
そこで政府が打ち出したのは、国民のサイフから外貨を出させて、資金状況を改善しよう、ということなのだが、あまり効果はあるまい。トルコ政府は国民に外貨を、トルコ・リラに替えろ、そのリラで金を買え、と言っているが、素直には従うまい。そんなことをすれば、金はトルイコ市場で、暴騰することになるからだ。
しかし、政府の関連機関は素直に従うしかないようで、トルコ金融市場は手持ちの外貨を、全て外貨からトルコ・リラに、替えることを発表した。しかし、それは国際金融市場でトルコの信用を、著しく低下させることになろう。
トルコ政府は緊急経済対策会議などを開いているが、これも妙案は浮かぶまい。7月15日のクーデター後、多くのベテランや優秀な人材は、職を解かれ刑務所に入れられており、優秀な金融のプロはいないのだ。
経済状態がこうも悪くなれば、酒でも飲んでウサ晴らしをしたいところだが、政府は酒税とタバコ税を、上げることを決めた。従って、酒で憂さを晴らすことも、難しくなっているのだ。
エルドアン大統領は、例によって、『このトルコ・リラ危機は、外国による陰謀だ。』とわめき始めており、『われわれはこの陰謀に打ち勝つことが出来る。従ってトルコの経済危機は起こらない。』と言っている。
マスコミは完全にトルコ政府の管轄化にあり、経済の実態がどうなのか、ということを伝える術は無く、国民も真実を知るべき方法がない状態だ。つまり、いまのトルコ国民は、暗闇の危険な道を、歩かせられているようなものだ。
このような状態が長く続くわけが無い、トルコでは突然大変革が、起こるということを、予測しておくべきであろう。