『IS(ISIL)がリビアのシルテで完敗』

2016年12月 6日

 

 2014年の初めにリビアのシルテに入り込んだIS(ISIL),その後この街を支配下に置いてきた。シルテはリビア東部にあり、石油の積出港に近いことから、まさに戦略拠点であった。しかも,カダフィの 生家に近いこともあり、インフラも整備されていた。

リビアはこのシルテを、IS(ISIL)の手から奪還すべく、戦い続けてきていたが、遂に完全解放に、成功したようだ。アメリカ軍の空からの支援もあったが、結果は陸上戦闘が決めるわけであり、リビア軍の健闘を、称賛すべきであろう。

リビア軍はいま、シルテを始めとし、リビア各地でIS(ISIL)狩りを、進めている。

IS(ISIL)はシルテを追われることになり、相当数がリビア軍に投降したようだ。そリビア軍のIS(ISIL)狩りは徹底していて、IS(ISIL)の戦闘員が隠れていないか、各家を家探しする方式を、とっているようだ。

しかし、それでリビアのIS(ISIL)問題が、解決したわけではない。IS(ISIL)はリビア南部に移動しており、このグループが石油地帯に、手を出してくる、可能性は大いにあろう。

IS(ISIL)がリビア南部に移動しているのには、他にも理由がある。そこからアフリカの中央部に、進出して行こう、ということであろう。アフリカには幾つもの国があり、地下資源も豊富だ。

IS(ISIL)が侵攻していく場所は、アメリカの利益が絡んでいる、場所なのだ。IS(ISIL)が進出し、その国が危険な状態になると、アメリカは決まって軍事協力をもちかける。結果的に、アメリカはその国に武器を売り、軍を派遣して、支配下に置く、ということだ。

リビアの場合も、現在、正統な首相とされているのは、セラジなる人物で、この人物は国連が選んだ、とされているが、実質はアメリカの選択であろう。彼の対抗馬であるハフタル将軍も、カダフィ大佐によってチャドの戦線に送られ、その後、CIAの手引きで、アメリカに亡命し、以来、CIAに保護されていた人物だ。

つまり、アメリカはリビアで、2枚のカードを持ったということだ。セラジ首相が弱体化したら、アメリカはハフタル将軍を支援し、ハフタル将軍の支持が減れば、セラジ首相を支援する、ということだ。

リビアはシルテをIS(ISIL)から奪還できたが、新たな敵アメリカは、IS(ISIL)の何百倍あるいは何千倍もの力を持った国だ。これでリビアの独立は。実質的に消え去り、アメリカの新たな植民地に、成り下がったという事であろう。