アメリカのストラットフォー研究所が、来年はサウジアラビアが、アルカーイダの攻撃ターゲットになる、という分析を発表した。一方では、シリアでの停戦が実現し、和平が進むと思われているのだが、サウジアラビアはこれから、危険度を増していく、ということのようだ。
その根拠は、世界が現在IS(ISIL)の掃討に集中しており、アルカーイダに対する注目度が、下がっているために動きやすい、ということだ。アルカーイダは名前を変え、リビア、マリ、エジプト、アルジェリア、イエメンなどで戦闘を、展開していくと見られている。
アラビア半島、なかでもサウジアラビアでの作戦が、増加すると予測されるのは、アルカーイダとサウジアラビアとの間で、秘密裏に結ばれていた、イエメンをめぐる合意が、破棄されているからだ。その結果、サウジアラビアがアルカーイダの、攻撃ターゲットになる、とみられている。
アメリカの来年の動きは、トランプ氏が大統領に就任すると、反体制派への支援は、シリアで激減することになり、トルコやサウジアラビア、カタールがその穴埋めを、しなければならなくなろう。
アメリカは反体制テロリストへの支援を減らし、クルドへの支援を強化することになろう、とストラットフォーは予測している。また、IS(ISIL)がロシアやシリア、アメリカなどの攻撃を受け、弱体化し、支配地域を放棄しており、そこを狙って、他の反体制テロ組織が、しのぎを削ることになろう、とも予測している。
いずれにしろ、2017年はサウジアラビアにとって、テロとの戦いを本格化させなければ、ならない年になりそうだ。現在サウジアラビアはシリアに関与し、イエメンと戦闘を継続させており、イランとは一触即発の緊張状態にある。
このことに加えて、国内でのテロ活動が活発化すれば、サウジアラビアには打つ手が、無くなるのではないかと思われる。それは世界の石油市場に、直接的な悪影響を、及ぼすことにもなろう。