先進国も途上国も、権力を握る者は、金に対する執着心が強い。権力の座を追われた時、彼らは貯め込んだ金を、自分の懐に留め置けるのか否かが、大問題だ。韓国の朴大統領についても、近い時期にこのことに関する、結論が出るだろう。
エジプト政府はいま、ムバーラク大統領がスイスの銀行に、貯め込んだ金を、取り戻そうと必死になっている。エジプト政府はいま厳しい財政状況にあり、無理からぬことであろう。その額が5億7千万ドルにも上るというのだから、エジプト政府にしてみれば、無理もあるまい。
スイス銀行はマネー・ロンダリングや、ギャングなど犯罪組織の金の、引き落としを阻止しているが、ムバーラク大統領の場合は、これに引っかかったようだ。その金は汚職によって得たもの、と思われるからだ。
ムバーラク大統領以外には、ウクライナのヴィクトール・ヤヌコビッチ前大統領、チュニジアのアリー・アービデーン元大統領等も、この嫌疑に引っかかり、引き落としが出来ないでいるようだ。
アメリカのトランプ次期大統領の顧問のカーター・ペィジ氏は、このヴィクトール・ヤヌコビッチ前大統領と、金銭的な関係があった人物だ、と言われている。
トルコの場合は少しましな話であろう。納税が出来ず、未納になっている人たちに対する、特別法が考案されたのだ。その法律は再建法と呼ばれ、その新法に沿って申請をすれば、減税してもらえたり、納税の期間を遅らせてもらえる、という事のようだ。
トルコもエジプト同様、財政的には厳しい状態にあり、何とか未納分の税金を、徴収したいという事であろう。480万人の人たちがこの新法に沿って、納税の額を減らしてもらい、時期を遅延してもらう、対象になっており、申請手続きをしたという事だ。
しかし、たとえこの新法によって、納税者が全額を納税しても、いまのトルコ政府が抱える、対外債務の返済には、ほんの微々たるものでしかなかろう。トルコの政府はこれ以外にも、国民に対して、外貨を放出するよう呼び掛けたり(手持ちの外貨をトルコ・リラと交換すること)。外国の観光客を誘致するために、チャーター・フライトへの燃料無償サービス、なども行っている。
しかし、トルコの財政状況に対しては、既に赤信号が出ており、トルコに対する外国の投資家たちは、次々に資金を引き揚げており、トルコ・リラはつるべ落としのように、下がりまくっている。
一時期までは、1ドルに対して1・97トルコ・リラ程度であったものが、今では1ドルに対し3.5トルコ・リラになり、やがては4トルコ・リラになるだろう、と予測されている。