『アレッポをめぐるロシアトルコシリアの意見対立』

2016年11月27日

 

 シリアのアレッポ奪還作戦が、続いて久しいが、ほぼ最終段階に入っているのではないか、と思われる。しかし、IS(ISIL)側の抵抗も続いており、今日明日に結論が出る、というほどの期待は、持てないようだ。

アレッポの解放については、関係各国の思惑があり、一概には解決できないようだ。それはIS(ISIL)との戦いとは、別の次元の話のようだ。ロシアはアメリカとの間の駆け引きがあるが、その場合は人道的な面を、どう考慮するか、ということがあろう。

ロシアはアレッポに猛空爆を継続して、IS(ISIL)の勢力を潰してしまえれば、ことは簡単なのだが、IS(ISIL)側は住民を盾に取っており、猛爆をすることは、住民を多数犠牲にする、ということでもある。

トルコはといえば、トルコとシリアとの国境には、20万人のシリア人が難民としてトルコに入る日を待っている。もし、これからアレッポに激しい攻撃がかけられることになれば、難民の数はもっと増えることになろう。

トルコもまた、このシリア難民の受け入れについては、頭痛の種になっている。今でもトルコには300万人の、シリア難民が入国しており、シリア難民に対する支援の費用は、巨額に上っている。

EUへのシリア難民の流入を、押さえることを条件に、60億ユーロの援助を要求したが、EUはなかなかそれを、実行してくれる気配は無い。そうでなくとも火の車のトルコの台所事情は、ますます厳しいものになる、ということだ。

そこで浮かんできた解決策は、シリアを実質的に分割して、統治するという考えのようだ。なかでも、アレッポについては、緊急の対応が必要であり、現実的な選択肢として浮かんできている。

アレッポの地方議員などは、シリア政府を経由せずに、直接支援を受けることを、希望しているが、それはシリアを分割することに繋がる、としてシリア政府は受け入れを、拒否している。

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は、最近2度に渡って電話で、シリア問題を話し合っているが、このなかではシリア軍によって、トルコ軍が攻撃され、死傷者を出したことも、討議の話題になったようだ。

気短なエルドアン大統領からすれば、シリアを一気に攻撃したいところであろうが、シリア難民のますますの、流入の危険性があることから、そうも行かないだろう。

いまアレッポの解放は、関係諸国のそれぞれの思惑から、停止状態に入ったのではないか。その事は現地住民の飢餓状態が、悪化するということだ。