『エルドアン大統領EUを恫喝』

2016年11月26日

これまで何度となく繰り返してきた、エルドアン大統領のEU諸国に対する脅しは、今回は一層の真実味をもって、EU側から受け止められているのではないか。それは、EU議会がトルコのEUメンバー資格問題を、当分の間、凍結するという決議を、出したからだ。その決定が出たことには、715日に起こった、クーデター未遂事件が絡んでいよう。

EU諸国はこのクーデター未遂の後で、トルコ政府がどのような措置を取ったのかを、十分に承知している。10万人を超える人達が逮捕され、4万人近い人達が投獄され、その獄中では拷問が行われている。国外に逃れようと思った人達は、逮捕され投獄されている。

それだけではなく、ほとんど全てのトルコのマスコミが、政府から厳しい審査を受け、閉鎖されたり、政府と関係のいい企業に、売り渡された。マスコミ人の活動も、完全に制限され、多くの人達が投獄の対象になっている。

そしてついには、エルドアン大統領が死刑復活を言い出し『国民が望むならば死刑制度を復活させる。』と公言している。実はその事は、国民の意思ではなく、エルドアン大統領の望むことなのだ。

これではEUに加盟する資格は、遠のいて当たり前であろう。そのようなトルコの動きが、今回の『トルコのEU加盟を凍結させる。』という決議をうみだしたのだ。しかし、エルドアン大統領は決定に激怒し、EUを恫喝している。

彼は『EUがトルコのメンバー入りを、凍結するのであれば、トルコはシリア難民などの、EU諸国への流入を、止めない。』と言い出したのだ。

このことがEU諸国にとんでもない問題を、もたらすことは容易に想像がつく。これまでに、EU入りしたシリア難民などの数は、200万人近いのではないかと思われるが、トルコには300万人のシリア難民がおり、もし、彼らがトルコから自由にEUへ、移動できることになれば、EU諸国には合計で、500万人前後の難民が、あふれるということだ。

トルコはこの難民問題を梃子に、EU諸国に幾つもの要求を、突きつけてきている。『トルコにいるシリア難民に対する支援金、60億ドルを支払え。』『トルコ人のEUへの、ビザ無し渡航を認めろ。』『トルコをEUのメンバー国にしろ。』といった要求が主なものだ。

今回のエルドアン大統領の、怒りに満ちた恫喝に対して、EU諸国はどう対応するのかが問題だが、あるいは、EU諸国は難民問題で、腹を括っているのかも知れに。エルドアン大統領の傲慢さにはもう耐えられない、ということではなかろうか。